【基礎ゼミ】第3回「ミュージアムの特性を活かした活動とは?」

【基礎ゼミ】第3回

実施日:2024年5月11日(土)10:30~15:00
会場:岐阜県美術館 ACルーム
講師:伊藤達矢さん(東京藝術大学 社会連携センター教授/副センター長)

ミュージアムの特性を活かした活動とは

アートコミュニケーターとして、より具体的な活動のイメージがもてるよう、他館の実践事例をいくつか取り上げ、アートコミュニケーターとは何か、美術館では何ができるか等、アートコミュニケーターと美術館のつながりや仕組みをわかりやすくお話しいただきました。

「ミッション先行ではなく 、居合わせた人がすべて式」

一つのアイデアを軸に、居合わせた人がもっている技術や特技、アイデアを組み合わせてプロジェクトを設計していく方法で、今後の「舟」の活動が始まります。
企画の遂行を目指すと、チームの中でアイデアに広がりがなくなることがあります。伊藤さんは「企画を成功させることよりも、アイデアや特技を持ち寄り、投げかけて、話し合う場ができることが何より大事」だとお話されました。
対話の中で、最初にイメージしていたものよりも、集まった人によってやりたいことが変わっていくことが醍醐味であり、よりよい活動に発展させることができるとお話しいただきました。

マシュマロチャレンジ

午後は、各チームでマシュマロと30本のパスタなど与えられた道具を使って、てっぺんにマシュマロを刺したタワーを作り高さを競うワークをしました。

制限時間25分で、話をしながら制作するチームや、設計図を書いてイメージを共有するチーム、しっかりと話し合ってから制作に取りかかるチームと、多様な動き出しでした。

「〜ながラー」の皆さんは、どのように進めていくのか戸惑いつつも、できる限りタワーが高くなるよう試行錯誤し、協力して制作しました。終了時間直前にタワーがくずれて0cmになり、残念がるチームもありましたが、「タワーの高さが重要ではない」ことについて伊藤さんは話をされました。

 

 

 

 

 

 

 

リクレクション(振り返り)の時間を作ること

マシュマロチャレンジのあと、10分ほどチームで話し合う時間が設けられました。

実行したことについて、反省点を出し合い、次の取り組みに向けた対策を考え、実行に移していくという繰り返しが、チームワークで大切なことだとお話しいただきました。

 

 

 

 

 

振り返りの後、チームを変えて再度マシュマロチャレンジをしました。

「〜ながラー」の皆さんは前回のチームで経験したり話し合ったりしたことをもとに、作りたいタワーの形やチーム内での役割を速やかに決めて、制作に取り組んでいました。前回よりも、周囲を観察したり、チーム内でのコミュニケーションを活発にしていたりして、安定感とともに高さのあるタワーをそれぞれのチームが作りあげていました。

「〜ながラー」のふりかえり

・伊藤先生から、とびらープロジェクトのラボ2例を出されていましたが、その2つの例は共に「困難さを、なんとかしてみよう」と試行錯誤してみることで、創造的な何かが生み出されるんだと、感動いたしました。

・ミッション先行ではなく、居合わせた人がすべて式、完成する事を目的としない、話し合ってアイデアを出し合う事が大切という点が、楽しみながら交流するという事を軸にして良いんだと思って個人的に気が楽になりました。

・マシュマロチャレンジは、「振り返り(概念化)」とメンバーとの「協調性」「役割分担」「コミュニケーション」の重要性を楽しんで学ぶことが出来ました。

・「ミッション先行でなく居合わせた人が全て式」「バックキャスト」という視点が、舟を作る上でも特に意識しなければならないと感じました。また、軽く言ってみる、チームの解散も積極的にしたほうが良い、というのもまた勇気のいることだなと感じました。

 

スタッフノート

今回の講座やワークを通して、これから舟の活動をする中で、チームとしてどう関わっていくとよいのか、どのようにアイデアや企画を育てていくとよいのかを体感できたのではないかと思いました。

居合わせた人たちとのコミュニケーションを大切に、「〜ながラー」がアートコミュニケーターとして美術館という場所でできる活動を考え、少しずつ進めてほしいと願っています。