ドレコ・デ・ギフビ丸

「この舟のろう方式」による活動の記録を、「〜ながラー」がふりかえります。
今回は「ドレコ・デ・ギフビ丸」の企画の様子をお届けします。

【活動期間】2025年2月〜 2026年2月

【メンバー】5期: 井川、伊藤、岡田、尾畑、佐橋、鈴木、辻、平光、水井、山本、大堀、柏淵、村瀬

1、舟の誕生

「美術館に向かうきっかけとして、オシャレをして出かけるところという視点があってもよいのではないだろうか」、「その日の装いと企画展をリンクさせる事で美術館を訪れる前、鑑賞中、鑑賞後も楽しめるような企画ができないだろうか」との思いに賛同したメンバーが集まり、舟が誕生しました。

■2025年2月24日(月・祝)■
第1回目のミーティングでは、舟の活動内容について話し合いました。企画展にちなんだドレスコードで来館した方が、鑑賞、ワークショップで何か持ち帰ることができるものを制作、そして参加者同士で発表し交流…ワークショップでは何を作るかなどアイデアが溢れるように出てきました。

2、どんな企画にする?

プログラム名は岐阜県美術館でなじみ深い「ナンヤローネ」から、「ドレスコードはナンヤローネ?」とし、舟の名称は「ドレコ・デ・ギフビ丸」としました。
基礎ゼミ第2回目の美術館庭園での交流会の際、館長にも企画名と概要をお伝えし、いよいよ夏と冬の2回開催を目標に準備をスタートしました!

「装いに関するアイテム作り」「できるだけ簡単にできるもの」と方向性を決め、沢山のアイデアの中から「布缶バッジ作り」がふさわしいと考え、思い思いのハギレ布を組み合わせて缶バッジを試作をしました。

■2025年4月26日(土)■

第1回目は所蔵品展「塔本シスコの花鳥苑」を対象にイベントを行うことに。「夏ならTシャツに絵を描くのも楽しい」という話から、「明るい色使いで自由な雰囲気の作品を鑑賞した後なら、面白いTシャツが出来そう!」とワークショップの素材をTシャツに方向転換しました。ベースのTシャツはどうするのか?子供から大人までのサイズ準備も難しい…という壁にぶつかると、「家にあるTシャツを使用すればよいのでは?」「布缶バッジ作りで使ったようなハギレ布をはりつけるのも可愛いよね」と新しい方面に向かった瞬間にどんどんアイデアが飛び出しました。これぞ舟の活動の醍醐味です。

アイキャッチとなるキャラクターを作ることにし、後日、舟のメンバーであるMMさんの「色んな服装のキャラクターを散りばめては?」という一言からインスピレーションを受け、SSさんが描いたキャラクターに、YMさんが「Doreco&Gifbee」と命名し「ドレコ・デ・ギフビ丸」のキャラクターが誕生しました。

IMさんが自宅でデコレーションTシャツの試作をして準備物の情報を共有するなど、ミーティングの場以外でも、それぞれのアイデアとセンスを活かして準備が進んでいきます。

■2025年5月31日(土)■
デコレーションTシャツ試作では、各自持ち寄ったTシャツにハギレ布を貼ったり、布用クレヨンで描いたり、スタンプを押すなど、花鳥苑をテーマにした楽しいTシャツが出来上がりました。

参加者がワークショップで制作した作品の発表は、展覧会タイトルの「花鳥苑」にちなんで、紙で作った花と鳥を貼ったパネルとアーチのミニランウェイで行うことにし、デコレーションTシャツ制作時や発表の際にBGMとして「~ながラー」で楽器が得意なHYさんにチェロ、IMさんにバイオリンの演奏を依頼しました。SNS用に制作するイメージ動画のBGM音源も提供してもらうことになりました。音楽によってさらにイベントを盛り上げていきます。

3、イベントの準備をしよう

■2025年7月13日(日)~8月3日(日)■
ミニランウェイ作り。塔本シスコさんの作品の中に登場する紫陽花と向日葵をモチーフにして、各自で制作したペーパーフラワーを集め、パネル、ランウェイ、アーチにデコレーションし、会場を飾りつけました。

4、イベント本番

■2025年8月23日(土)■
本番は参加者14名、見学7名、計21名となりました。今回のドレスコードは「花、植物、鳥いずれかのデザインを身につける」です。ドレスコードのポイントを紹介した後、展示室にて作品を鑑賞し、デコレーションTシャツ制作を行い、生演奏をBGMにランウェイウォークで発表し盛り上がりました。

5、第2回はどんな企画にする?

第2回イベントに向けての企画を練りました。
企画展「大正・昭和‘モード’の源泉 国立美術館 コレクション・ダイアローグ」でイベントを開催することに。
展示点数も多いことから鑑賞時間を長くとり、制作はより簡単にできるものにすることにし、タイルピンバッジの試作をすることにしました。

■2025年10月5日(日)■
色とりどりのタイルやデコレーションパーツ、ピンバッジ土台などを持ち寄り、試作を行いました。

ポスターに使用するキャラクターも大正・昭和・ロマンティックモダンな装いに衣替えし、昭和の街角をイメージしたポスターデザインと、PR動画は縦長のInstagramのリール機能で投稿できるように制作しました。

■2025年12月7日(日)■
フォトスポットは昭和のショーウインドウ風、メンバーのYM さんのシェルランプとミニテーブルを配置し背景は描くというアイデアから変化し、IM さんのトルソーが加わり、OA さんの布地でパネルを飾る方向に。ワークショップに使うタイルは SS さんが大量に提供してくれることになり、企画展担当のS学芸員からはアンティークテディベアを貸して頂ける等、皆の思いがつまった空間へのワクワク感でいっぱいです。

6、第2回イベントの準備をしよう

■2026年1月12日(月・祝)〜2月14日(土)■

企画展の後期展示の中で対話型鑑賞を行う作品の選定と動きの確認などのプログラムを考え、ワークショップの物品準備と安全と効率化を考慮したプログラムや会場のレイアウト決めました。制作にかかる時間も計りました。
講堂前スペースとホールに拡張した特別会場での開催で、フォトスポットのクオリティにもこだわりました。段ボールで制作したのショーウインドウ枠は当初シャビーなテクスチャーでしたが、ディスプレイ小物との雰囲気とのギャップを指摘され、残り少ない準備時間で塗り直し金色のリボンを貼って上品なビンテージフレーム風に仕上げました。

7、第2回プログラム設営、本番

■2026年2月15日(日)■
フォトスポットのパネルを固定するための金具加工はOYさんご家族のご協力で、作品を持ち帰る際に入れる小箱をOAさんが製作してきてくれました。

本番は参加者15名、見学1名、計16名となりました。今回のドレスコードは「貴方の思う大正・昭和・ロマンティックモダン」です。ドレスコードのポイントを紹介後、展示室での対話型鑑賞、ホールでのタイルブローチ制作、最後にはフォトスポットでマネキンになりきっての撮影で盛り上がりました。

番外編:舟フェス

2025年11月3日(月・祝)の舟フェスでは、ミニイベントとして「塔本シスコの花鳥苑」で対話型鑑賞をした後、以前試作をした布缶バッジ作りを行いました。

舟メンバーの感想

・気取ることなくふらりと訪れることができるのも岐阜県美の魅力ですが、思い思いのドレスコードで来館頂き、展示作品から更にインスピレーションを得てワークショップに参加して頂けました。ワークショップの試作、フォトスポットの作成など、幾つかの困難にぶつかりながらも、みんなの知恵と笑顔で乗り越え、2回のイベント開催ができました。<5期 MM>

・アートコミュニケーターになる前、一人で楽しんでいたドレスコード。それが「舟」という活動を通じて皆と繋がり、感情や会話が膨らむ豊かな時間へと昇華されました。1ヶ月かけて夫婦で考えた「ドレスコード」参加者の言葉に、目に見えない過程が育むウェルビーイングの種を見た気がします。私自身も、小さなきっかけから大きな幸せの輪を広げ続けられる存在でありたいです。<5期 OA>

・ドレスコードをきっかけに、来館前から展示作品に思いを馳せる「ワクワク感」を育むプロセスを学ぶことができました。実際、来場者の方が声を弾ませて身に着けているもののエピソードを話して下さる様子を目の当たりにし、これこそが一つの「能動的な参加」の形なのだと実感しています。鑑賞前後も豊かな時間にする工夫を、この舟の中で学びました。<5期 IM>

・美術館に行くもう一つの楽しみを提案した活動でした。それぞれのドレスコードや、ワークショップなど様々な形で参加者同士やメンバーが交流でき、とても有意義な時間をすごす事ができました。この活動では、「〜ながラー」の底力を何度も目の当たりにしました。諦めず、みんなの団結力がイベントの成功につながったと思います。<5期 TT>

・ドレスコードが、初めて出会う来館者同士を繋ぐきっかけになり、アートを通じて交流ができる素敵な空間を作り出す事が出来たと思います。準備の段階での、メンバーがそれぞれの得意を持ち出し、うまい具合に混ざり合う様は、〜ながラーだからこそだと感じました。<5期 IM>

・最初に舟の企画を聞いた時に、魅力あるWSで真っ先に参加表明しました。2回の企画とも、準備から本番まで試行錯誤する中で、5期のパワーと参加者が和気藹々制作し作品を発表する姿を見て、すごくアットホームなWSだったと感じましたし、終わった後の達成感が半端なかったです。<5期 OY>

・アートとファッション。相性が良いはずなのに、なぜか誰も思いつかなかったアイデアに共感して飛びつきました。大好きなテーマなだけにミーティングもわくわくの連続。美術館の中にランウェイやフォトスポットを作ったのが忘れられない思い出です。本番で幕を開けてみれば参加者の皆さんもキラキラの笑顔。やはり、アートとファッションは相性抜群でした。<5期 YM>

・美術館とのつながりに「ファッション」という観点を取り入れ、作品を見るだけでなく、作品と自分を融合させて楽しむことができる、とても楽しい試みとなりました。企画を進めるにあたっては、「どのように進めていけばよいのか」と悩み考える場面もありましたが、メンバーそれぞれのアイデアを出し合いながら形にしていく事ができました。とにかく、ずっと楽しかったです!<5期 SS>

・「美術館で、ドレスコードを設定する」パーティーでは気軽に楽しむもの、美術館でもやってみたら…!結果、美術館の新しい楽しみ方、向き合い方に気づかされたような舟でした。制作も楽しかったし、イベントのみで撤収してしまうのがとても惜しいくらい。参加者の皆さんが本当に楽しそうで美術館を自分ごとに引き付けてくれたんだな、と感じることができました!<5期 ST>

・美術館に来る前からワクワクできる楽しい企画でした。家族参加の方が皆で工夫しドレスアップされているのを見て、新たな美術館の楽しみ方を学ばせて頂きました。関連した鑑賞会も盛り上がって良かったです。とにかく挑戦し、皆で知恵を出し合い最後まで諦めないメンバーの元、とても有意義な時間を過ごす事ができました。<5期 HR>

・お題を貰って思いを巡らせる事の好きな人は実は多いのでは?と思ったのもきっかけの一つでした。ドレスコードから装いについて考え、身に着け鑑賞してその世界の住人になり、動いたココロを作品で表現し、帰った後も身に着け楽しむ…装いは手軽な自己表現でありアートやコミュニケーションに繋がるという体験をアイデアとセンスとエネルギーに溢れたメンバーと共に味わう事が出来ました。<5期 MM>

執筆:5期 村瀬