オンライン基礎ゼミ4〜6

アートコミュニケーター「〜ながラー」は、4月からオンライン上で集合し、これからの活動準備となる「基礎ゼミ」を行なっています。32人の〜ながラーの自宅と美術館を中継し、アートやコミュニケーションについて学ぶ内容を紹介します。

《5/24(日) 第4回 「きく力」を身につける》

 

講師:西村佳哲さん(働き方研究家 有限会社リビングワールド代表)
website:https://www.livingworld.net
書籍:『自分の仕事をつくる』(2003 晶文社/ちくま文庫)、『自分をいかして生きる』(2009 ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(2009,10 弘文堂)、『かかわり方のまなび方』(2010 筑摩書房)、『いま、地方で生きるということ』(2011 ミシマ社)、『わたしのはたらき』(2011 弘文堂)、『なんのための仕事?』(2012 河出書房新社)、『ひとの居場所をつくる』(2013 筑摩書房)など

10:30 石原総務課長から「美術館の一部開館について」
講師:西村佳哲さんの紹介
10:35〜 〜ながラーと美術館スタッフが30秒ずつ、全員が一言ずつ自分の近況を話す
「明後日朝顔の芽が出るのが楽しみ!」「家でこんな風に過ごしてるよ」など。
11:00〜 アートコミュニケーター「〜ながラー」について【西村さん・鳥羽学芸員】
・美術館は人の関わりをつむぐ場
…美術館の社会的機能や価値を再発見していくパートナーが、アートコミュニケーター
・場所は実践の積み重ねで変わっていく
11:15〜 3人組で、お話しから考えたこと・感じたことを話し合う
11:40〜 ・アイデアは、思いついた人が「表現できた!」と思う瞬間からはじまる
…表現できるのを可能にするのは、「きく人」の存在である
・「ひとの話をきく」って?【西村さんから鳥羽さんにインタビュー】
問いかけ「なぜ、鳥羽さんは今ここにいるのか?」
…西村さんが「きき方」を実践

<きき方のポイント>
・「この人は何者で、どこへ向かいつつあるのか」を知りたい ー 話すことの作動性
・“話の内容”以外の情報を受け取る 
ー 内容とは別に感じていること・表していること
・先回りしない ー 相手についていく

「ひとの話をきく」とは「相手がより自分を表現できる時間を、一緒につくる」こと

12:20〜13:10 昼休み
13:10〜 午前の内容のふりかえり
13:15〜 2人組で、お話から考えたこと・感じたことを話し合う
13:25〜 ・「“話の内容”以外の情報を受け取る」について
人は話すとき、「事柄・思考」「気持ち・感覚」を表現している
→後者は、オンラインで減りやすい。積極的に感受しにいかないと、こぼれおちてしまう。
・常に相手に関心を持ちつづけるのが大事。
話を聞きながら考え始めてしまうときは、「きいていない」状態。
最新のその人は、気持ち・感覚の方にいる。「相手は今どんな感じなんだろう?」と、その人についていくようなきき方をすると、そこから生まれるものはより豊かになっていく。
13:45〜 2人組で、「話す・聞く」ワーク
問いかけ:「なぜここに?」
・「話し手」「聞き手」の役割を交代しながら、お互いの話を聞き合う
・ふり返り
14:15〜 大切なポイントのふり返り
・きいてくれる人がいるから、話すことができる
・ひとは“内容”以上のものを表現している
・相手に関心をもちつづける
14:25〜 2人組で、お話から考えたこと・感じたことを話し合う
14:30〜 きく人によって、「相手に受け入れられるためにではなく、自分を表現するために話す」機会が増えていく。
〜ながラーがそういう集合体だと、よいのではないだろうか。
14:35〜 「この舟のろう式」を始めるためのワーク

「〜ながラーを知る・聞く」
3〜4人組で、お互いを知り合う8分間×2回

14:55 連絡 : 6/6(土)明後日朝顔全国会議に「ながら」として初参加予定。Hさんがプレゼンテーションします!

《6/7(日) 第5回 「この舟乗ろう式」「ここにいる人が全て式」「解散設定」》

講師:西村佳哲さん(働き方研究家 有限会社リビングワールド代表)

10:30 管理業務専門職 金森さんよりあいさつ
「美術館は6/2から通常開館となりました。皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!」

西村さんからあいさつ→〜ながラー全員+スタッフで「おはようバトン」
「おはようございます!〇〇(名前)です。+ひとこと+次は〇〇さんです。」

10:40〜 前回「きく力」のふりかえり
・アウトプットの前に、豊かなインプットがある
・「ひとの話をきく」とは「相手がより自分を表現できる時間を、一緒につくる」こと
11:05〜 ペアワーク
「前回、一番印象に残ったことは…」
話す/聞く役割を10分間ずつ、交代して体験→5分間ふりかえり
11:35〜 【海に浮かぶ島の図】
島 - 成果としての仕事         ↑doing(なにを?)
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技術・知識
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考え方・価値観               ↓being(どう?)
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あり方・存在

・あり方・存在〜成果まで、連続性のある活動をアートコミュニケーターとしてやっていけたら…

12:05〜 ここまでの話をどんなふうに聞いた? 3人組で話す
12:15〜 お昼休み
13:00 【この舟のろう方式/そこにいる人が全て式/解散設定】
 やってみる
 あるものでつくる
 ちゃんと終える

・「プロジェクト」=pro(前方に)+ject(投じる)
・ワークショップって、どんな場所?
(語源:作業場、工房  ↔︎ファクトリーではない!)
…試みがある、よりいいものを作りたい、職人同士が触発しあう場所。

・プロジェクトの進み方曲線(時間/質)
…プロジェクト(creativity)とルーティン(productivity)
(パレート(伊、経済学者)の法則)

13:15 どう聞いた? 3人組で話す
13:25 「ミッションより、その場に居合わせた人がすべて方式で」(2009,豊嶋秀樹)
…grafのエピソード
14:05 どう聞いた? 3人組で話す
14:15 ・プロジェクトの終わり方を、ちゃんと設計しておく
タイマー、次元の設定
ふりかえり
反省会にしない
内容ではなく、プロセスをふりかえる
…この経験から得られるほかの物事にも活かせることは? 
14:25 今日の「ふりかえり」をしてみる 3人組
14:35 ・西村さんから、質問への回答
14:45 連絡:
(1)《この舟のろう方式》進め方、今後の予定について
(2)6/13(土)基礎ゼミ6について

 

《6/13(土) 第6回 「この舟のろう式」の中間発表会》

講師:伊藤達矢さん(東京藝術大学美術学部特任准教授、基礎ゼミ3講師)、日比野克彦館長
〜ながラーは5月から「この舟のろう方式」で活動してきました。3〜4人のチームを「舟」としてアイデアを出し合い、乗り合わせた人たちで企画をつくる試みです。ヒントになったのは、基礎ゼミ1で日比野館長から出た指令「離れたところ同士だからこそ生まれてくるアートを、考えてみよう」。基礎ゼミの最終回では、それぞれの「舟」がつくった企画についてプレゼンし、日比野館長と伊藤達矢さん、美術館スタッフからコメントバック&アドバイスを行いました。

13:00 日比野館長よりあいさつ
・〜ながラーの《舟》を実装していくために
・11/3 文化の秋祭り…今年はアートコミュニケーターとの連動や、オンラインを活用した企画を中心に計画していく予定。
進め方についてのアナウンス
13:15〜14:55 【プレゼンテーション5分+講評5分】× 8つの《舟》

>> 8つの《舟》が発表した内容はこちら!

15:00 全体の講評
日比野館長
・11/3をゴールに見据えてもいいし、すぐできることから初めてもいい。
・今のグループにこだわりすぎないで、時折メンバーをシャッフルするといいかも。
・こだわりすぎて硬直することなく、柔軟に次のステップに!
・全体的に、固定概念にとらわれずに自由な発想が必要。
・〜ながラーが岐阜県美術館にいることがとても心強い。
・形にならなくても、試行錯誤やコミュニケーションの時間を大切に。
伊藤さん
・パレートの法則…早いところやった方がいい! 最初の2割が、〜ながラーの活動の大事な部分を作っていく。できそうなことから手をつけてみて!
・告知や参加の方法など、一歩踏み込んで考えてみると、一気に現実味を帯びていくはず。

全6回の基礎ゼミをふりかえって / 〜ながラーの言葉から

〜ながラー・Sさん

全6回の基礎ゼミを通して、ゼミではアートのことや作品作りのテクニック的なことを学ぶのかと思っていましたが、いい意味で裏切られました(笑)グループワークの進め方や「きく力」、冷蔵庫にあるもの主義、あり方・存在の話…etc  深い部分のお話が多く、自分自身のことを振り返りながらゼミを受けていました。ゼミの講義内容を活かしてていけば、~ながラーの活動もスムーズに進めていけたり、自分自身も変わっていけるのかなと思いました(大げさかな?)オンライン上での受講のため、対面で~ながラーのメンバーと会うことは叶いませんでしたが、回を重ねるごとに皆さんのことを知っていけたのは嬉しかったです。

〜ながラー・Sさん

全てのゼミが終了して 第4回の “美術館は関わりを紡ぐ場” という新しい美術館のあり方のお話が印象深いです。今どきの+αの機能を持った図書館のように、美術館も市民が集う場になって欲しい!そうなるようにながラーの一員として何かしたいと思って応募した事を再確認しました。この熱意を持ってこの先も進んでいきたいです。

〜ながラー・Kさん

〜ながラーとしての役割や理解が浅く、活動が掴めなかったり戸惑いの時間が多かった。でもゼミを終えて今は、はっきり分からないでいいのかもと思えてきている。そうやってみなさんで何やろ〜ねってする事、それ自体を大切に楽しむ気持ちを土台に、県美愛を深めて行けたらと思う。私にできることは少ないですが、私なりの〜ながラーを見つけたい。ながラーという活動が大人を一生懸命にさせて、この熱い姿勢と優しさはどこから湧いているんだろう。みなさんの共通しているところはなんだろうと思った。

〜ながラー・Fさん

6回の講座を終え、~ながラーは単なる「岐阜県美術館のお手伝い」ではなく、クリエイターであり、コネクターであり…様々な役割を担うことがよく分かりました。~ながラー同士で協力したり、ひとりひとりが主体的に動いたり…始まったばかりなので、できる範囲で楽しみながら活動していきたいと思います。「やってみたいな」「おもしろいな」と思ったことは、まず声に出し、やってみる、ということは意識していきたいです。

〜ながラー・Sさん

ゼミを振り返って。
美術館は人の関わりをつむぐ場所であること。
私達~ながラーは、人と物の出合いを作る人であること。
だから「聞く力」が圧倒的に大切であること。
また話の内容以外の情報を受け取る必要もあること。
相手がより自分を表現できる時間を、一緒に作り出していくこと。など様々な事がスッと心に響いてきました。これからの活動に役立てていこうと考えております。
パレートの法則を聞いて、ああ、こんなことやっていたな、と遠い昔の自分の仕事時代を思い出しました。

〜ながラー・Yさん

対面でする6回とリモートでする6回とでは、同じ質量の基礎固めができるとは思いませんが、それでもその中で理解や再確認できたことは多々ありました。まずは自分たちがちゃんと繋がらないと、美術館と何かを繋ぐことなどできないだろうなぁということもその一つです。基礎ゼミ全6回の講座の根底にはその部分があったと思い、繋がるってなんやろーね、ととても深く考える時間となりました。