基礎ゼミ@美術館7〜9

アートコミュニケーター「〜ながラー」は、4〜6月のオンラインによる基礎ゼミの後、7〜8月には「基礎ゼミ@美術館編」で学びを深めてきました。美術館の沿革や将来像についてのレクチャー、演劇のメソッドを用いたワークショップの体験、全員が力を発揮するための会議進行など、リアルな空間とコミュニケーションの経験が、今後の活動の糧になっていきます。

※検温、手指消毒、マスクの着用、使用物品の消毒などの感染症対策を実施し、「基礎ゼミ@美術館編」は任意参加としました。

《7/25(土) 第7回 「仲間を知ろう」演劇メソッドを使ったコミュニケーションWS》

真剣な演技あり、ユーモア溢れる表現あり。オンラインではわからなかった、それぞれの個性が見えてきました!

講師:はせひろいちさん(劇作家、演出家 劇団ジャブジャブサーキット主宰)
website: https://jjcofficehp.wixsite.com/toppage

10:30 正村学芸副館長よりご挨拶
「このような状況下でも、美術館で〜ながラーの皆さんとお会いできて本当に嬉しく思っています」

本日の講師:はせひろいちさんの紹介とご挨拶
・35年ほど劇団を主宰。岐阜で演劇を制作して、全国に公演をもっていくスタイルで活動を続けている。

10:50

ゲーム1「石送り」隣の人に石を送る動作をして、円座を一周。
ゲーム2「私・あなた」ランダムに次の人を指差していく。

距離を広く取ってコミュニケーションをとります。

「心を合わせる、一緒にいる人たちをひとつにする儀式のようなもの。」
表現者は、自分だけでは決してうまくいかない。
自分と他者のことをある程度思いやっていかないと、いいものはできない。
発信するのも大事だけど、受け手はもっと大事!演劇では、一つのセリフに対して、反応することがセットになっている。早く反応したり、準備しすぎると、情報が変わってしまう」

11:10 何かを表現するときの、3つの大きな要素

・セリフ
・カラダ
・イシキ

「お芝居=セリフだと思う人が多いけれど、セリフは重要な情報の1/3位。カラダの使い方、話し方、アクションで、表現は多様に変わる。」

イシキは体の真ん中、お腹のあたりにある、と話すはせさん

「演劇が特別なのではなく、日常の方が複雑でリアリティがある。スペシャルな技術ではなく、日常にテクニックは転がっている。日常のコミュニケーションをブラッシュアップするのがおもしろい
11:30 小休憩
11:40

「何してるの?」
自分がやっている動作(例:歯磨き)をしながら、次の人が近づき「何してるの?」とといかけてくる。次の人には自分がやっている動作と別の動きを投げかける(例:腕立て伏せ)。

12:00 お昼休憩
13:30

「衝撃のコクハク」
配った短い台本を読み、リレー形式で相手が入れ替わっていく。

衝撃のコクハクがたくさん展開されました。

「舞台の上で出た事実は引き取る、相手の出してきたことに乗っかる。台本よりも、今起きていることを大事にする
「これは聞く側のレッスン。聞き手=お客さんの代表としての存在、客観性がある視点。聞く人は、意識がどれだけフラットにいられるか、僕たちがやっていることはどう見えるか、に歩み寄っていける存在なんです」
相手のキャラクターや、自分に与えられた登場人物について「なんでこの人と自分は違うんだろう?」って問いを抱くと、自分と他者との違いを考えるきっかけにもなります。個性や感情が強く現れなくても、不思議と寄り添えて、かけがえのない登場人物になる。」

15:00

「33」
1から33までの数を順番に声に出してつないでいく。数字を声に出すときに誰かと重なってしまったらアウト。場にいる全員が1回は数字を唱えること。

15:10 はせさんから今日のまとめ
客観者性と当事者性、感情のコントロール、集中力と平常心。どれも舞台に立つ時に、大事なことですね
「みなさん最初はとっても緊張していたけれど、何だか今はすごくいい雰囲気。とてもいい仲間になれるだろうと期待しています」

 

〜ながラーのふりかえり

  • 今日は、一堂に会して初めて同じ空気の中で講義を受けることができました。リモートでは伝わらない空気感やその人の持つ雰囲気を感じながら、対面のありがたみをひしひしと噛みしめながら活動し、皆さんの感性や場の設定の面白さに絶えず笑ってしまい、本当に楽しかったです。
  • ただ聞いているだけなら楽しい会話も、相手からの思わぬ言葉に素早く反応してうまくつないでいくのは本当に難しい、と感じました。聞いている人を意識しながら、どうやって自分の予想外の展開になっても分かりやすく楽しい対話を構築していくのか、という点は今後の舟の活動にも生かしていきたいと思います。
  • 今回の講座で学んだことは、「芝居はナマモノ。自分個人の頭の中に用意しておいた予定調和は意味をなさない」ということを改めて身をもって体感することで、「その場その場を丁寧に拾ってコミュニケーションを楽しんでゆくことに肚力を使うべきなのだろう」ということでした。
  • 演技をしてみて気が付くのは普段の自分にないことをしようとすると、行き当たりばったりになってしまいやはりうまくいかないということ。自分らしい表現するためには自分の中にあるものをもとに表現していくことが必要だと感じました。

《8/1(土) 第8回 「美術館を知ろう」》


講師:岐阜県美術館職員

10:30 石原総務課長よりご挨拶
青山学芸課長「岐阜県美術館の沿革、所蔵品について」

過去の展覧会や、所蔵作品についての充実したレクチャーでした。

12:00 お昼休み
13:15 集合写真、個人写真の撮影、館内ツアー
13:50 鳥羽学芸員「〜ながラーについて / 今後の活動について」

〜ながラー設立の背景や、活動の概念について共有しました。

14:00 峰岸教育普及専門職「画像の利用について」
14:15 古川教育普及係長「教育普及事業について」

「今、美術館に〜ながラーがいるのがとても重要なことなんです。教育普及との連携を大切にしたい」

14:30 橋本課長補「11/3の関連イベントについて」
14:45 各舟で「実施希望調査」を記入
解散

 

〜ながラーのふりかえり

  • 青山さんの愛にあふれる講義で、美術館の歴史を知ることができ、もっといろんな話をお聞きしたいなと思いました。美術館の収蔵品がいろいろな苦労や手順を経て購入されている事を知り、所蔵品1つ1つに想いがこもっているんだなぁと、また、違った想いで作品を鑑賞できそうです。

    午後からも皆さんの「~ながラー」への熱いエールを受け、美術館と人々をつなぐ、何か「~ながラー」として私にできることを少しづつやっていきたいなと改めて思いました。

  • 改めてアートコミュニケーター「~ながラー」と自分について思い返すことになりました。具体的に私は何ができるかな?どうだろう?…と思ってしまいました。でも、自分の想いと美術館の皆さんの想いや大事にしたい部分は同じか近いものだろうな、と感じました。

《8/29(土) 第9回 「美術館でグッド・ミーティング」》

講師:青木将幸さん(会議ファシリテーター)
website:青木将幸ファシリテーター事務所(外部リンク)

10:30 日比野館長よりあいさつ

「新型コロナウイルスによって生活様式が変化していくなか、アートとコミュニケーションはどうなっていくだろうか?」
美術館は建物だけではなくて、地域や市民も含めて「ミュージアム」。将来的にすべての人たちにアートコミュニケーターのような役割があったら、世の中が変わっていくかもしれない。自分たちの考えていることが、社会に伝わる手応えを感じてみよう」

今回の講師:青木さんの紹介
10:45

問1「どんな舟に乗っていたいですか?」

一人ずつ紙とマジックペンを使って記入。

書けたら、同じ机に座る人たちで、一人ずつ描いた舟について紹介。
「ミーティング=やりとりができる場。お話ししたことが返ってくる、関心を向けることの大事さを感じて

11:10

問2「美術館が大きな舟だとして、いち〜ながラーとして、こんな役割を果たせたらいいな!」

書けたら、紙を見せ合いながら歩き回る

→グループになって着席し、それぞれのお話を聞き合う

11:40
問3「〜ながラーとして、今、気になっていることは?」
青木さん「気になっていることをすぐに話し合えるのは、大切なこと!」
1人ずつ発言し、円になり全員で聞く
12:15~13:15 お昼休み
13:15 「気になっていること」の発表が全員一周したところで、質問が多かったポイントについて、美術館スタッフから情報提供。

→近隣の人と5分相談タイム
「おしゃべりタイムを入れて質疑応答に行くと、問いがクリアになったり、発言が出やすくなったりします。」
→Q&Aタイムへ
(5分休憩)
14:00

「お困りごと解決会議」

1)5人1組で座る
2)1人1テーマ、気になってることを議題を出す
3)ジャンケンで1番手を決める
4)1分あたりの持ち時間(今回は7分)を決める

5)話し合いスタート

ルール:その時間はその人が気になっていることの解決に、みんなで全力を尽くす


青木さん「会議は、その組織の文化を表すもの。みんなで力を出し合って、アートコミュニケーターの活動をすすめていってもらえたら」

15:00 日比野館長から終わりのあいさつ
グッドミーティングは希望!型の学びと、守・破・離を大切に。型があるからおもしろい。自分じゃない人、知らないことを知りたい…という感覚をエネルギーに、人は変わって、成長していく。」
お知らせ
#SuchatHOME 〜ながラーとミュージアム・ミーティングについて

 

〜ながラーのふりかえり

  • ながラーの活動を始めてから、オンラインで様々なミーティングをする機会が増え、ホストをすることが多かった私は、自分がグッドミーティングを開催できているのか自問自答することが多く、グッドミーティングをするやり方を学びたい!と強く思っていました。

    で、やり方が分かったか、と問われたら、身についた!私にもできる!とは言えませんが、グッドミーティングに参加するとどう自分が変わるのか、という感覚は掴むことができました。今お互い気になっていることを共有し、その場にいるメンバーが全力で向き合って解決方法を考えてくれる、そうした場を作れることがグッドミーティングなんだと感じました

  • 昨日のゼミで印象に残った事は、「話すことは、離すこと」との青木さんの言葉です。それぞれの気になる事を、みんなで全力で解決しようとしていく場を設ける事は、いろいろなプロジェクトをしていう上で、とても大切な事だと分かりました。
  • 「いま気になっていること」では、みんなが気になっていることがわかり、その気になっていることを自分事としてとらえて話し合いをすることで気持ちを共有することができたと思います。1回の話し合いでは解決しなかったこともあったと思いますが、話し合ったことは自分の中に根付くし、話し合いが終わった後も考えるようになるような気がします。そしてまたみなさんとお話できたらと思います。