開催レポート:〜ながラーによる作品鑑賞ツアー【Let’s enjoy the collection.】<Let’s 鑑賞丸>

「この舟のろう式」による活動の記録を、〜ながラーの視点からふりかえり、アーカイブとして掲載します。
今回は、<Let's 鑑賞丸>が開催した「Let's enjoy the collection.」の様子をお届けします。<Let's 鑑賞丸>のメンバーは6月末にチームを結成し、約3ヶ月の準備期間を経て、来館者を迎えたイベントを開催することができました。

〜ながラーによる開催レポート

10⽉31⽇(日)、対話型鑑賞会「Letʼs enjoy the collection.」を開催しました。
緊急事態宣言があり、8月も9月も延期していましたが、なんとか実施することができてよかったです。
1回目は〜ながラー同士で鑑賞を深め、2回目はお子さんを含む参加者の方を迎えてやってみました。

ファシリテーター:恒川明美さん、松本博之さん、⾼橋あゆこ
サポートと写真撮影:濱野さん(美術館スタッフ 普及業務専門職)

第1回目13:00〜14:00
参加者:1期〜ながラーメンバー 合計3名

第2回目15:00〜16:00
参加者:保護者1名+未就学のお子さん2名、保護者1名+未就学のお子さん1名 合計5名

 

1期の~ながラーの方々の協力を得て、第1回の対話型鑑賞スタートです!

長年、名古屋市美術館でツアーガイドをされている恒川さんが、展示室1a「20世紀の美術」の担当をしました。1909年イギリスのアイルランド生まれの画家 フランシス・ベーコンが描いた《闘牛のための習作No.1》です。彼は20世紀最も重要な画家の一人で現代美術に多大な影響を与えたと言われています。この作品には彼の好んだテーマのひとつで、闘牛士・闘牛があらゆる視点で描かれています。作品を見ていくなかで、〜ながラーたちが特に気になったのは、流れるような線と背景の強烈なオレンジカラーです。生死をかけた闘いの場面での「動き」や「時間の流れ」を効果的に表現するためにこんな描き方をしたのだろうという感想や、「激しさ」や「熱狂」を表すためにこのオレンジ色を使ったのだろうという意見がでました。みんなで作品をじっくり鑑賞することで、作品をより深く味わうことができた気がします。

 

松本さんが、1909年高山市生まれの版画家 守洞春について説明をしてくださいました。写真は、版画《霊魂不滅》です。さなぎから蝶へ姿かたちが変わっても、そのなかに宿る魂や精神は変わらないのではないか、と参加者の皆様とお話ししました。他にも守洞春の作品は大胆な構図で色刷りが美しく、時代を超えた飛騨人の美意識を感じることができます。

 

高橋がアボリジニ美術の説明をしました。オーストラリアの先住民・アボリジニの芸術は、彼らの宗教観・個々人の歴史を鮮明に描いているそうです。「ジュクルパ」とは、英語で「ドリーミング」と訳され、神が天地創造をした時代のことを指すと分かりました。

 

1期〜ながラーの先輩⽅の前で緊張しましたが、近くにいた来館者の⽅も⽴ち⽌まって聞き⼊るほど興味深いお話ができました。リラックスした雰囲気のなか、第1回⽬が無事終了しました。

第2回の対話型鑑賞スタートです!

まずは、岡田謙三の《配置》を一緒に見ました。大人も子供も想像力を搔き立てるこの抽象画に見入りながら、会話もはずみました。男の子は作品の水色と白色に注目し、そこに新幹線のような形を見つけました。女の子は、オレンジ色と白色の中に鳥の姿を発見したようで、嬉しそうに説明してくれました。

守洞春《悲嘆》です。一見猫の集まりに見えますが、よく見ると真ん中の猫が仰向けに眠っていて、まわりの猫たちが泣いたり悲しんだりしています。参加者の男の子が、版画の猫たちが弔う様子に気がついて、「これは本当は猫のお葬式だ!」と想像して発言してくれた事が一番の驚きでした。はじめは作品中の猫の模様や関係性を各々語って貰い、話題が進み作品の全体像へ意識が移りました。その中で冒頭の発言で一同が驚き、皆で共感しました。

未就学のお子さんとの対話では、《霊魂不滅》の前で私自身もしゃがんで目線の高さを合わせ鑑賞。一緒に下から眺め、「どんな作品だと思う?」と話しかけ、更に「どこからそう思うか」を一緒に対話をしました。同じ目線で鑑賞し、さなぎと蝶の物語を語ってくれ、生まれ変わりの神秘的な感情を共有できたのではと思いました。

参加者の方々から「楽しかった」と⾔っていただけて、和やかな雰囲気で対話型鑑賞会が終わりました。

     

執筆・高橋あゆこ

〜ながラー2期メンバー。
今年は私にとって変化が訪れる1年でした。
そんなときに、~ながラーの皆様に出会えてよかったです。