【基礎ゼミ】第3回〈ミュージアムの特性を活かした活動〉
【基礎ゼミ】第3回〈ミュージアムの特性を活かした活動〉
実施日:2023年6月10日(土)10:30〜15:00
会場:岐阜県美術館 アートコミュニケーターズルーム
講師:伊藤達矢さん(東京藝術大学 社会連携センター特任教授)
内容:ミュージアムが再定義される今、アートコミュニケーターとして美術館をどのように社会とつなげるのでしょうか?《舟》企画の内容や今後のすすめ方を講師がアドバイスします。
ミッション先行ではなく 、居合わせた人がすべて式
自分たちでできること、自分たちが持っているアイデアを組み合わせてプロジェクトを設計していきます。そこに居合わせた人の思いが重なり合うと相手に共感がうまれます。
今回のゼミではそれぞれが持ち寄ったアイデアから企画を考えていきます。
生活と美術館をつなげる取り組みを考える
来館者の方には様々な背景を抱えた人がいます。美術館と来館者をつなげる存在の「~ながラー」は来館者の方に美術館をより好きなってもらうには、どのような取り組みをすべきか考えていきます。
最初のワークでは「好きなこと」は青色、「得意なこと」は黄色、「すべきこと」は赤色の付せんに色分けしながら、自分自身と向き合い考えたものを書き出していきます。
共有
一人で考えた後は、チームの他のメンバーに自分の書いた内容を見せ合いながら、付せんを色ごとに、また内容の近いものに分類し組み合わせていきます。
自分たちの持っているリソースを並べ替え、チーム内で内容の共有が行われました。
拡散
次に共有された3色の付せんを組み合わせてできる、「生活と美術館をつなげる取り組み」を考えていきます。この前の段階で共有を経ているので、付せんに書かれたものは自分だけの言葉でなく、チームの言葉になっています。どの意見もチームのものとして、書いた相手に遠慮せず企画のアイデアに反映していきます。
また、同時に使わない付せんを取捨選択することでチームの中で言葉を精査していきます。
使わない言葉を決めることで、やりたいことの輪郭をさらに明確にすることができます。
混沌
模造紙に付せんをはり、書き込み、企画のたたき台となる一つのストーリーを作っていきます。
チームの企画を説明するホスト役が1人テーブルに残ります。他のチームのメンバーは他のグループの企画の聞き手になり、その企画のアイデアがもう一段階よくなるように全力でアドバイスをします。
ホストはその忌憚のない意見を建設的に受け止めます。
アドバイスはオレンジの付せんに書き込まれ、具体的な指摘やアドバイスを視覚的に残します。
収束
チームのメンバーで再度集まります。オレンジの付せんに残してくれたアドバイスにどんな内容があったかをメンバー内で共有していきます。良いアイデアを共有することでさらに自分たちの企画の完成度が高まります。
話を共有したら、考えた企画を一枚で説明するポスターを作ります。
ポスターができたら、また一人ホスト役になり、自分たちの企画をプレゼンしていきます。ホスト役以外の人は他のチームの企画のプレゼンを聞いて回ります。
全てのチームから企画のプレゼンを受けた後で、良いと感じたプログラムをふたつ選んで投票していきました。投票の一番多かった2チームが本日のベストプログラムに決まりました。
このように計3時間程度の時間で6つの魅力的なワークショップや企画が生まれていきました。
~ながラーのふりかえり
・“生活と美術館をつなげる取り組みを考える実習”の中で、誰かが発した言葉が他のメンバーの心に響き、じゃあ、こうすれば・・・、とアイデアが発展し、他のチームの人の助言を得て、さらにアイデアが深まる・・・というプロセスを実感しました。
・居合わせた人と小さなことを差し出し聞き取り混沌としたのち喜びを得て繋がっていく。
居合わせていない人へその流れを放っていけるとイイなと。どのチームのアイデアも実際にあったら乗りたいと思いました。
・会議についてのお話の中で、メンバー全員がフラットな関係で進めることで…
『金銭では交換できないような価値、プロセスを大事にし、参加者だけの活動にせず、さらに外側へ広がっていく活動にしたい』というお話はこれからの活動のビジョンで「~ながラー」が目指すところだと感じました。
スタッフノート
今回のゼミでは、アイデアを持ち寄りプログラムをつくる経験をしたことで、これからの舟の活動でのミーティングの進め方や取り組みが想像できたようです。居合わせた人たちとのコミュニケーションを大切に、「〜ながラー」が美術館でできる活動をできることから少しずつ進めていけたらと思います。