【基礎ゼミ】第4回〈きく力〉
【基礎ゼミ】第4回〈きく力〉
実施日:2023年6月17日(土)10:30〜15:00
会場:岐阜県美術館 アートコミュニケーターズルーム
講師:西村佳哲さん(有限会社リビングワールド 代表)
内容:コミュニケーションの基本は、話している相手に本当に関心をもって「きく」ことから始まります。お互いの思いや力を出し合って、プロセスを共有する方法について学びます。
スパゲッティキャンティレバー
最初のワークでは3名1組のグループで、机上にキャンティレバー状の構造物を作り、浮いている状態で長さを競いました。
配布物はパスタ100g、タコ糸、ドラフティングテープ(紙製のテープ)の3つのみで、制限時間は30分です。
構造の芸術点はなく、評価対象は「長さ」のみです。
配布されたパスタの本数を数え始めるチームや、とりあえず何かやってみようと手を動かすチーム、黙々と同じ形の構造物を作るチームなど、一つのことに取り組むにも様々な動きがありました。
ふりかえり
ワークや対話後は、毎回プロセスをふりかえり、次につなげるために何が起こっていたかを客観視していきます。
このワークが始まると、自分たちの持ち時間を確認しながら進める人や、自分のアイデアをスケッチしチームに共有する人がいました。
チームに自分の考えを具体的に共有すること、時間配分、役割分担をもつこと、早めに試して失敗することなど、短い時間のワークの中にある出来事・経験が別の機会につながるという気付きがあり、コミュニケーションの重要性を体感することができました。
この舟のろう方式
「~ながラー」の活動の軸となる、「この舟のろう方式」について、西村さんと美術館スタッフから説明がありました。
一つの舟(=アイデア)に乗り合わせたチームで話し合い、活動を展開していく方法です。
きく力を身に付ける
対話をするワークを行いました。
例えば、話し手は最近腹が立ったことについてできるだけ気持ちを込めて相手に説明をします。聞き手はどんな些細なことでもいいので否定をします。例えば「そんなの大したことないよ。」「気にしすぎだよ。」といった具合です。
対話の後は、聞き手の聞き方は話し手にどのような影響があったか、話し手はどのような気持ちの動きがあったのかをふりかえりました。
私たちは話を聞こうとしてくれる人がいるから、話をすることができます。
ワークを通し、相手を尊重し寄り添っていくにはどのような姿勢で相手と向き合うべきか、普段の生活での会話を改めてふりかえる機会となりました。
聞き手は安易にわかったような気にならないことが重要で、同じテーマや言葉で話をしていても、どう感じ、表現するかは人それぞれです。
言葉には思考や、情報があります。話すときに動作、言葉以外の表情や身振り手振り、目線、調子、抑揚などで表現されているので、聞き手はそれを理解しようと務めます。聞いているつもりにならないようにお互いの話を聞こう、という態度を持ち合うことがチームでプロジェクトを進めていく「~ながラー」にとって基本的で大切な考え方だとワークを通して実感できました。
~ながラーのふりかえり
・今回のお話の中で、「話し手」にとって「聞き手」の姿勢がとても影響すること、安易にわかったような気にならないこと等を聞きながら思ったことは、話の内容だけではなくその中にある別の物を汲み取れるように、表情や目線や姿勢などを心に留めて対話をしたいということです。図々しくも決めたことは、話すことが苦手な私は誰よりも聞き上手になりたいな、なーんて思ってしまいました。
・「早めに試して失敗する」敗因を早めに顕在化させることは次どうすれば良いか分かり、 その先の完成度を高めるために大事であると学びました。 そのためには途中で「これダメなんじゃないか」 と気付きを共有できる状態であることが大切であり、 具体的に話し合ったり役割分担をしたりといったその他活動を成功させる要素としてコミュニケーションの重要性を改めて感じました 。
・「反省会にしない」も残った言葉のひとつです。自分だけの問題として引き取らず、一緒につくりあげてきたメンバー全体ごととして捉えて、他のものごとにも活かせることを共有していく。その中で、視点の確認や認識の共有も大切にしていきたいと思いました。
スタッフのふりかえり
西村さんの講座を受けて、「~ながラー」の皆さんそれぞれが「きく力」を意識して持ち合い、安心して対話のできる環境づくりを実践し、アートコミュニケーターの活動を楽しんでほしいです。