明後日朝顔丸

「この舟のろう方式」による活動の記録を、「〜ながラー」の視点からふりかえり、アーカイブとして掲載します。
今回は「明後日朝顔丸」の企画の様子をお届けします。

【活動期間】2024年4月~11月

【メンバー】
3期:烏野、岸、中野、中山
4期:王田、伊藤、多田、佃、林、山崎、吉田
5期:井川、石原、種田、岡田、岡本、村瀬、佐橋、鈴木、平光、堀部、森下、山本

 

明後日朝顔とは
アーティスト・日比野克彦さん(岐阜県美術館長)が「大地の芸術祭」において、新潟県十日町市莇平(あざみひら)の住民たちとの交流を目的として、2003年から始めたのが「明後日朝顔プロジェクト」です。
この活動は「地域と人を繋ぐ」 共生の種として全国各地に展開しています。
岐阜県美術館のアートコミュニケーターも2020年からこの活動に参加してきました。

1、活動開始

昨年度まで「ながららぼ」として活動していた明後日朝顔は、今年度から自主的な舟の活動となりました。まずは、仲間集めからスタートです。準備作業から掲示板で参加を募ったところ、徐々に参加者が増え、最終的には20人を超える仲間に参加いただきました。

今年は、明後日朝顔活動を通じて、「美術館と来館者をつなぐこと」及び「地域の人々とふれあうこと」を目的として活動を展開することにしました。
5月18日、第1回の作業として、「~ながラー」の皆さんに明後日朝顔の種を配付する準備、種まき及びACルームの棚のアップデートを実施しました。

2、苗植え

今年の苗植えは、他のイベント等との関係から、2週にわたり、少しずつ実施しました。

6月8日(土)はアトリエ西側壁に朝顔の蔓用のロープ張り、6月9日(日)は土掘り、土入れ、そして6月15日(土)に散水用ホースの設置及び苗植えを行いました。3回に分けて順次実施する中で、延べ29人という大勢の方が参加することができました。蒸し暑い日々でしたが、みんなで知恵と力を出し合い、楽しく、ケガなく作業できたことがよかったです。

また、岐阜県美術館で育てていた苗の成長が遅かったので、「岐阜」地区から元気な苗を多数譲っていただきました。おかげで20本のロープすべてに元気な苗を植えることができました。

3、キングオブタネイベント

明後日朝顔全国会議に向け、7月15日「ながら」のキングオブタネを決定するイベントを開催しました。
「日比野館長と楽しもう!明後日朝顔プロジェクト」と銘打って、来館者にも参加いただける企画として実施しました。
直前にSNSで告知しましたが、家族連れを含む16名の来館者に参加いただきました。「~ながラー」も17名参加し、会場はほぼ満席の盛況となりました。

参加者全員が好きな地区の種を選び、スケッチし、そこに込めた思いを発表しました。投票の結果、6年生いろはさんの「一つの種からたくさんの笑顔」と4年生えいとさんの「何だね」の2つが9票で同票1位となりました。決戦投票か?と思われましたが、日比野館長が2人にインタビューし、2人とも立派にインタビューに応えた結果、日比野館長から、「2人ともキングオブタネながら地区代表!」という発表があり、会場は大きな拍手に包まれました。

キングオブタネとは?
その年収穫された種の中で、一番の種のことです。
どの種が一番かどうかは、見つけた人の思いで決まります。種への思いをスケッチに表現し、みんなにプレゼンし、参加者全員の投票でキングが決まります。スケッチの上手下手ではなく、その思いをどれだけ他の人に伝えられるかが大切です。

4、熊本全国会議

8月3日はいよいよ熊本で全国会議です。事前に発表用の壁新聞を作成し、スタッフ、湊カラーの皆さんとともに参加しました。

えいとさんとそのご家族にも参加いただき、一生懸命プレゼンをした結果、15チーム中3位という好成績でした。
各地域の発表は大変参考になり、地域ごとに違いはあるものの、いろいろと工夫し、その地域の多くのグループが参加し、活動を盛り上げていることが理解できました。

 

翌8月4日には熊本城にて肥後朝顔の見学をさせていただきました。とても暑い2日間でしたが、熊本市現代美術館及び熊本市役所の皆さんに市内を案内していただく等、すばらしいおもてなしをいただきました。

 

5、花盛り 看板も設置

8月に入り、明後日朝顔も花盛りです。説明用看板も設置していただき、来館者の皆さんにも楽しんでいただけたと思います。

 

6、収穫祭

11月23日に収穫祭イベントを開催しました。
8人の来館者と「~ながラー」6名が参加し、蔓の収穫と種のとりわけを実施した後、蔓を使ったリース作りを実施しました。
庭園を散策しながらリース材料を集めるという趣向は来館者に大変好評だったようで、
「自然の中で非日常を味わえてよかった。」「すごく楽しかった!岐阜県美がものすごく好きになりました。」というコメントをいただきました。

 

7、活動をふりかえっての感想

・舟の自主的な活動となり、事務局との連絡等、スタッフの皆さんに支えられながら、手探りでの活動でした。明後日朝顔活動の素晴らしいところは、やはり、全国に仲間がいるということを実感できることです。この感覚を共有できる仲間を少しでも増やせたことが一番の喜びでした。
・AC就任間もない4月末から約7ケ月、自然を扱う難しさはありましたが楽しく舟活動をする事が出来ました。最後のイベント「収穫祭」では課題が見つかった一方で「明後日朝顔」の無限の可能性も見えてきました。点の活動を如何にして線にしていくか個人的にはみんなで知恵を出し合って、再出航出来たら良いなと思っています。
・今年の二つの目標のうち、「美術館と来館者をつなぐ」については2回のイベント開催等を通じて達成できたと思いますが、「地域の人々とふれあう」についてはあまり実現できませんでした。今後は、周辺地域の活動を盛り上げることにも注力していくことができればと感じています。


執筆:「~ながラー」
烏野、岸、中野、中山(3期)王田、伊藤、多田、佃、林、山崎、吉田(4期)井川、石原、種田、岡田、岡本、佐橋、鈴木、平光、堀部、村瀬、森下、山本(5期)