みんなで明後日朝顔丸

「この舟のろう方式」による活動の記録を、「〜ながラー」の視点からふりかえり、アーカイブとして掲載します。
今回は「みんなで明後日朝顔丸」による企画の様子をお届けします。

【活動期間】 2025年4月~11月

【メンバー】
4期:林、斎藤
5期:佐橋、平光、岡田、石原、大堀、村瀬、桐山、水井、森下、山本、鈴木、堀部
6期:小林、吉田、市橋、糸井川

◆明後日朝顔プロジェクトとは
アーティスト・日比野克彦さん(2015年から岐阜県美術館長)が「大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ」において、新潟県十日町市莇平(あざみひら)の住民たちとの交流を目的として、2003年から始めたのが「明後日朝顔プロジェクト」です。
この活動は「地域と人を繋ぐ」共生の種として全国各地に展開しています。
岐阜県美術館のアートコミュニケーターも2020年からこの活動に参加しています。

1.活動スケジュール

先ず年間の日程計画を作成し、続いて個別のイベント毎に詳細な準備日程計画を策定しました。
最終的に下記の通り活動が出来ましたので、それぞれについてふりかえります。

2.スタート

活動のねらいをメンバー間で共有するにあたって、5期のメンバーがコンセプト画を作成しました。コンセプト画はこの舟の活動に初めて参加する6期メンバーへの説明に有効的でした。

2025明後日朝顔活動のコンセプト画

6期メンバーへの説明会

3.種蒔き

5月10日に種の浸漬処理を行い翌日の5月11日に計45個のポットに種を蒔きました。

種の内訳は、“ながら”が29粒、“熊本”が16粒で、29粒には全国会議の会場である水戸芸術館へ送付する分も含まれています。5月18日には苗植え場の土掘りと土入れを行いました。

種蒔きの様子

発芽した状態

土掘り、土入れ作業

4.苗植え祭

当日の朝「岐阜」地域から苗の提供があったので、No1~20のロープの内、「ながら」の苗をNo1~10、「熊本」の苗をNo11~15、「岐阜」の苗をNo16~20の配列とし、余った苗はプランターへ植えました。

苗植え祭には1歳のお子さんから60代の方まで、総勢19名の方が参加しました。

参加者の皆さんは、「私の“あさがおさん”」をMy札に描き、それを苗植えした場所のロープに括り付けました。「キャラクターの“あさがおさん”」や「“明後日朝顔の歌”の合唱」、「イベント参加カード」はメンバーから新しく出たアイデアです。

私の“あさがおさん”

苗植え作業

キャラクターの“あさがおさん”

参加者の集合写真

イベント参加カード

5.苗植え祭~あさがお祭

「苗植え祭」後の水やりは、今年は例年以上の猛暑だったため、自動散水だけでは十分な水の量がいきわたらなかったためメンバーが日替わりで担当しました(月曜日のみ美術館のスタッフに依頼)。

また、朝顔の成長の様子を「あさがおの成長日記」としてSNSで配信しました。

蔓の誘引は専用テープを使って行い、液体肥料や防虫剤の散布も適宜実施しました。
さらに、芽の先端を摘み取る「摘心」作業も今年は積極的に取り入れました。
蔓の成長スピードは、「岐阜」の苗がダントツで早く、次いで「熊本」の苗、最も成長が遅かったのは「ながら」の苗でした。

「ながら」の苗の場所は芝生が生えている区画であり、これが成長の遅れに影響した可能性があります。来年は広めに土を掘り起こし、芝生の根を取り除くなどの対策が必要かもしれません。

今年はモバイルプランターも復活させました。復活にあたっては、リヤカーのパンク修理を4期メンバーが対応しました。

あさがおの成長日記(SNS)

リヤカーのパンク修理

6.あさがお祭

「ながら」地域の“キング・オブ・タネ”を選ぶイベントが「あさがお祭」です。

当日は、子ども6名・大人10名の計16名が参加しました。
まず参加者は、5粒ほどの種が入った4種類の「宝石箱」から1つを選びました。
その後、お気に入りの種をルーペで観察しながら想像を膨らませたり、種の「記憶」から物語を思い描いたり、頭に浮かんだイメージを画用紙にスケッチしました。
この「種の記憶」を考える際の参考として、種の履歴に記された地域オリジナルの「しおり」を用意しました。舟のメンバーが地域のキーワードを抽出し、美濃和紙に印刷したものです。

参加者のスケッチの中から投票で選ばれたのは、夏休みにおじいさんの家に帰省していた参加者の作品でした。タイトルは「何も見えなかったね」です。

イベントの最後には、AR(拡張現実)を使った自作コンテンツも披露しました。
スマートフォンを「キング・オブ・タネ」のマーカーにかざすと、3Dの「あさがおさん」が
踊りながら現れる仕掛けで、大人の参加者も楽しんでいました。

宝石のような種選び

種のスケッチ

しおり

今年の「キング・オブ・タネ」

「何も見えなかったね」

ARの余興

参加者の集合写真

7.「明後日朝顔」全国会議(9/13-14)

全国会議では明後日朝顔プロジェクトに参加する地域が集まり、活動報告や、各地域のキング・オブ・タネのプレゼン大会などを行います。
今年の会場は水戸芸術館現代美術センターで、「ながら」からは「〜ながラー」の任期を満了した湊カラーさ、美術館のスタッフを入れて総勢12名が参加しました。残念ながら「キング・オブ・タネ」を獲得することは出来ませんでしたが、「ながら」の活動をしっかりPRするとともに各地域との交流を深めてきました。

「ながら」の活動報告1

「ながら」の活動報告2

「キング・オブ・タネ」を獲得した「粟島」

全国のお土産

日比野主宰挨拶

主宰手書きの進行表

懇親会の模様

「~ながラー」集合写真

「~ながラー」集合写真 撮影者:喜多直人 写真提供:水戸芸術館現代美術センター

8.収穫祭

収穫祭に向けた苗の処置である「根切り」は、10月25日に実施しました。

そして迎えた「収穫祭」本番では、13名の参加者が蔓の収穫と種の仕分けを体験し、その後、収穫した蔓を使ったランプシェード作りを楽しみました。
このとき使用した蔓には、1週間前にモバイルプランターから収穫しておいた分も加えましたが、量としてはぎりぎりでした。

ランプシェードは、メンバーが何度も試作を重ねてくれたおかげで、当日はスムーズに制作が進みました。
また、庭園を散策しながら行ったオーナメント探しも好評でした。
今年の種は例年に比べてかなり少なかったものの、他地域でも同様の傾向だったとのことです。改めて、自然を相手にする活動の難しさを実感しました。

蔓の収穫

館外でのオーナメント探し

日比野式“種落とし”

種のとりわけ

ランプシェード作り

参加者集合写真

収穫された種

9.個人別活動のふりかえり

<I.M>
初めての舟参加が朝顔で、ミーティングなどに参加するうちに、一つの企画を進めるのがいかに大変か知りました。ワークショップが楽しいだけでなく、朝顔プロジェクトの意味や背景を知った上で、毎年参加したいと思ってもらえるようになるといいと思います。自由なアイデアを実際に形にしてしまうメンバーの引き出しの多さに感嘆しつつ、朝顔の成長を見守るのは、とても楽しい時間でした。

<Y.M>
先人たちからのバトンを受け継いでゆく舟には「できあがった殻をどう打ち破るか」が課題となります。私は今年からの参加ですが、その点は上手くクリアできたと感じています。歌ありダンス(?)あり、仮想現実あり。メンバーの自由な発想によって昨年、一昨年を上回るアイデアがふんだんに盛り込まれ、エンターテイメント性が格段にバージョンアップしたと思います。

<M.M>
毎週の水やりで、朝顔たちと触れ合い、一生懸命手を伸ばす蔓たちの健気さに心打たれ、朝日の中、開き始めた朝顔さんたちから一日のエネルギーをもらい、じっくり結実するタネたちに力強さをもらえました。
全国会議では、「あさがおさん」のファンが全国に生まれ、たくさんの方とお話ができました。朝顔の活動を通じ、「~ながラー」の力を合わせれば、素晴らしいことが実現することを改めて実感しました。

<O.Y>
今年はスタートからお仲間に入れて頂き、ミーティングを重ねるうちに明後日朝顔活動が、とても大きなプロジェクトであったと感じました。朝顔の水やりや、自宅での朝顔の成長に一喜一憂しながら朝顔を身近に感じ、苗植祭、あさがお祭、収穫祭と企画から開催まで、自分自身も楽しく活動が出来ました。今年見つけた課題はありますが、次回に繋げて行きたいです。

<Y.C>
朝顔は、舟の由来やその趣旨に感動し、迷わず参加を決めた舟第一号です。
参加してみて結果素晴らしい体験ができました。
・種をもらい、何十年ぶりかに自宅で育て、毎朝起きると真っ先に見に行った朝顔の成長
・美術館の朝顔の成長も愛おしく、猛暑の中の水やりやSNSを書くのが毎回楽しみだったこと。
・あさがお祭で朝顔のタネを描く参加者の表情やコメント、収穫祭で真剣にツルを紡ぐ参加者の表情に感動など数々の良い経験ができました。

<K.S>
ミーティングを重ねる中で、多くの新しいアイデアを共有、実行できたことがとても有意義でした。一方で、プロジェクトの趣旨を適切に伝えつつ参加を促すイベント企画の難しさを実感しました。自身が担当していた朝顔日記においては、SNS以外の発信方法や投稿の工夫が課題だと思います。来年度は柔軟に情報を発信でき、参加者の皆さまとの距離をより縮められる舟にしたいです。

<I.H>
初めて舟に参加し、メンバーの様々なアイデアと協力で活動が形になっていくのだと実感しました。参加者の方々の豊かな発想力と楽しそうにそれを作品にしていくときの表情の変化がとても印象深かったです。活動を通して自分自身が活動の趣旨をしっかりと理解しワークショップとの関係性を明確にしなければいけないと思いました。

<H.Y>
約7か月間、すばらしい仲間たちと舟の活動を無事にやり遂げることができ、ホッとしています。
計画書やスクリプトが100%整っていない場面でも、その都度、臨機応変に対応していただき本当に助かりました。自然を相手にする活動は難しさもありますが、その分、予想外の面白さや発見があり、それもこの舟活動の魅力です。SNSを工夫し、市民の皆さんと双方向のコミュニケーションが出来るとさらに盛り上がるのではないかと思います。

 

執筆者:山本、水井、岡田、堀部(5期)、吉田、市橋、糸井川、小林(6期)