開催概要
- 開催日
- 2024年5月5日(日)
- 開催時刻
- 10:30~14:30(12:00~13:00 昼休み)
- 会場
- 岐阜県美術館 多目的ホール、展示室3
- 対象展示
- クロスアート4「ビロンギング−新しい居場所と手にしたもの–」
- 対象作品
- Shape of Your Words[in Gifu.2023.10.14.-10.25]
- 参加人数
- 19
- 参加費
- なし
展覧会場で横山氏と作品を見る
はじめに横山氏から《Shape of Your Words[in Gifu.2023.10.14.-10.25]》について、岐阜の身近な人々に頼み、「I am」の文字を1枚の用紙に書いてもらったこと、文字の大きさや位置などに自分が一切関与してしないこととその意図、ネオンの発注から油彩画の制作の過程等の話がありました。その後しばらく、横山氏と参加者の皆さんは会話をしながら、その他の作品も含めて鑑賞しました。
りんごを描く
多目的ホールに戻り、横山氏から鉛筆や練り消しゴムの基本的な使い方と工夫した使い方についての話があり、その後りんごを熱心に観察しながら、6B、2Bの鉛筆、練り消しゴムを駆使して描いていきました。
「誰かの線」を描く
横山氏は、第1部で参加者が描いた作品を集めてシャッフルしました。参加者作品をくじ引きのようにして手に取り、手にした作品を描きました。描くにあたり、横山氏から「これから、描くものは、手にした『誰かの作品』です。描く場所も、大きさも、線の濃さも、すべてその通りに描いてください。もしかすると、『この部分は私の方がうまくかけるかもしれない。』と思うところがあるかもしれません。でも、手にした作品のように描いてください。」と話がありました。
描いた作品を鑑賞する
手にした作品を描き終えると、自分の作品と元にした作品を机の上に並べて置き、全員の作品を見て回りました。次に一人一人の作品について描いた人と、元の作品を描いた人の双方から感想を聞き、横山氏からの感想も聞きました。参加者からは、「『どの鉛筆を使ったのだろう。』『どんな速さで線を引いたのだろう。』と考えながら描くことが楽しかった。」「自分とは違った描き方をされているので、すごく勉強になった。」などの感想が述べられました。元の作品を描いた人からは、「自分の作品を見て描いてもらえるのが嬉しかった。」「どっちが自分の作品か分からないぐらいに描いてもらえて感動した。」などの感想が述べられました。横山氏は、描いている途中の様子や、りんごを見て描いた時とくじ引きで手にした作品を見て描いた時の表現の違いなどを取り上げるなどし、描いた人の努力やよさを紹介しました。
「誰かの線を描く」ことについて
最後に横山氏は、このワークショップの意図について「感想の中にも、『自分とは違う描き方を知れてよかった。』とか、『どうやってこの線を描いたのかを考えた。』というものがありました。それは、楽しみでもあり、もしかすると、自分はそんなふうに描きたくはないといった苦しみであるかもしれません。今日、多様性を受け入れることが大切だとよく言われています。他者の価値観や経験を受け入れることでコミュニケーションが豊かになり自分も成長します。それは絵においても同じことだだと思うのです。」と話しました。
参加者の声(アンケートから抜粋)
・アートは芸術の見方だけでなく、日常の世界の見方も教えてくれると思った。
・素敵なコンセプト。参加してよかった。準備に感謝。
・経験したことのない体験を「絵を描く」という行動を通じてできたこと、これが普段の生活にもつながることなんだなあと感じることもあった。
・横山さん作品の説明を受けた際に「I am」に込められた意味、他者と自分でつくり出す作品だと知って、ますます作品が魅力的だと感じました。自分の描いた作品を描いてもらうことも、人の描いた作品を真似て描くことも未体験のことで、描いているときに思いを巡らせることがとても楽しかった。
・他の人の作品を見て描くことで、いつもよりとてもいろんな想像をしながら描くことができた。
・人を受け入れるということを身体知覚する上でのヒントとなりました。
スタッフの振り返り
・参加者の皆様が、作品について語る横山氏の話を熱心に聞き、質問をしたり感想を述べたりと自然に会話する姿がとてもよかった。
・第1部のりんごを描く活動では、りんごをよく観察し、追求しながら描きこんでいく姿が印象的であった。第2部では、横山氏の働きかけに対し、誠実に実践し、午前中の自分の描き方とは全く異なる「誰かの作品」の描き方を追求しながら描いている姿がとても印象的であった。
・横山氏が一人一人の作品ついて全員で鑑賞する時間を十分に考え、丁寧に感想を聞いたり感想を述べられたりする姿が心に残った。
・活動の最後に横山氏が、「誰かの線を描く」としたワークショップの意図を述べられた時に頷かれる参加者の皆さんの姿が印象的だった。