所蔵品展示「特集:小本章」の鑑賞。自然物と自分が施した造形(自分)と自然物とが交わる感覚を楽しむ。
開催概要
- 開催日
- 2025年2月2日(日)
- 開催時刻
- 13:30〜15:30
- 会場
- アトリエ、展示室1
- 対象展示
- 所蔵品展示 特集:小本章
- 参加人数
- 22名
所蔵品展示「特集:小本章」を鑑賞し、小本氏の感性が自然の風景と何事かを交わらせているような感覚「交感」の魅力を体験しました。その後、美術館庭園にある自然物を対象に、自分が施した造形(自分)と自然物とが「交感」する感覚を楽しむことのできる作品を制作しました。
プログラムの流れ
○オリエンテーション
オリエンテーションでは、本日の活動のアウトラインを伝えました。本日は、「交感…自然とつながろう」をテーマに、所蔵品展示「特集:小本章」を鑑賞し、小本氏の感性や試みを味わい、美術館庭園にある自然物を用いて作品をつくります。
今日出会ったばかりの方とも楽しく鑑賞するための約束ごとなどを共有し、小本氏の作品に想いを馳せながら、展示室へと向かいました。
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○展示室での鑑賞
しばらくの間、各々のペースで鑑賞し、その後、感じたことを交流しました。「後ろの風景と手前にあるものとがつながって見えたり、前後関係がわからなくなったりして不思議な感じがする。」などの意見が聞かれました。それが小本氏の感性が自然の風景と手前の物体(自分の分身》を交じらせていくような感覚で本日のテーマとしている「交感」であると伝えました。
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○葉の色をつくる
「交感」を感じられるような作品をつくるために、先ずは、自然物が持つ色をつくり出すことに挑戦しました。そこで、美術館の庭園の中に多くある楠の葉を取り上げました。楠は常緑広葉樹で、冬でも緑の葉をつけており、春になると役割を終えた葉は真赤に色づき散っていきます。
楠の葉を参加者の皆さんに示し、「何色?」と尋ねてみました。もちろん「緑」との回答です。そこで12色セットの水彩絵の具に入っている緑色と葉の色とを比べました。すると、同じ「緑」と呼ばれる色ですが、随分違うことが分かります。そこで、「この葉の色にどこまで近づけるか挑戦しましょう。」と投げかけました。
参加者の皆さんは、水彩絵の具のチューブから、様々な色を出し、混色を試す中で、互いに交流しながら実際の葉の色に近付けていきました。混色のキーとなる色は、赤や朱、茶など赤みの入った色であることにも気付きました。
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○「交感」をテーマに作品制作
つくり出した楠の葉の色を用いた自分の造形(自分)と楠の葉との「交感」を楽しむことのできる作品の制作に取り組みました。
初めに、美術館スタッフによる作品例を紹介し、制作の手順や用意した材料等の説明をしました。参加者の皆さんは、用意した材料に触れたり、庭園に出たりしながら構想を練り、制作を進めていきました。楠の葉だけでなく、別の自然物の色をつくり、制作を進める方もいました。
自分の造形部分(自分)ができた方から、楠の葉などの自然物と組み合わせ、写真撮影をして作品が完成です。写真は各自用意したカメラなどで撮影しました。
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○作品の交流・鑑賞
完成した作品をプロジェクターで映し、試みたことについて参加者一人一人が発表しました。「石に葉を描き、描いた部分が葉とがつながり透けてみえるような感じにしようと思った。」「自分の手のひらに葉の半分を描き、自分の手と楠の葉がつながるようにした。」「葉柄(ようへい)が伸び、リボンのように流木に巻き付いているようにした。」など、各々の試みを語りました。発表者の説明に耳を傾け、熱心に映像を見つめる姿が印象的でした。
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《作品紹介》
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参加者の意見(アンケート抜粋)
・展示作品を見た後、関連した活動ができ、より深く考えることができた。
・展示作品を鑑賞してからワークをやって、どんなことをやるのか分かりやすかった。時間もちょうどいい感じだった。楽しい時間をありがとうございました。
・久しぶりに絵の具を触る、葉をじっくり見る、考えるという体験が刺激になって、とても楽しかった。
・木の色を再現するのは難しかったけど、色が一緒になってよかった。
・家ではできないことをたくさんできて嬉しかった。家では手を緑にしたら怒られるので、ここでたくさんできてよかった。
・子どもたちが主体的に考え、取り組むことができて、とてもよかった。
・時間がもっとあるとよかった。モニターが小さく見づらかった。
スタッフの振り返り
・小本章氏の作品に見入っている姿が見受けられてよかった。
・それぞれの方が工夫をこらし、「交感」を楽しむことのできる作品をつくり出していただくことができた。
・小さいお子様も、熱心に取り組む様子が見られてよかった。
・作品の交流では、写真を撮って完成というワークであったが、映像のみではなく、実際の造形も見て交流できるような工夫も次回から考えていきたい。