「培広庵コレクション 美人画の雪月花」関連アートアクションとして、日本画家山本真一氏を迎えてワークショップを行いました。「培広庵コレクション」は、大正から昭和初期の美人画の黄金期を中心に、明治から昭和まで、このジャンルの移り変わりを網羅した日本有数の美人画コレクションです。今回のアートアクションはこの展覧会に関わり、日本画、美人画(人物)をテーマとし、支持体には、各務原市の特産物である絵絹を用いて実施しました。

開催概要

開催日
2025年5月4日(日)
開催時刻
13:30〜15:30
会場
スタジオor展示室
対象展示
培広庵コレクション 美人画の雪月花
参加人数
18人

プログラムの流れ

◯オリエンテーション

はじめに、「培広庵コレクション 美人画の雪月花」担当の青山学芸員より、本日の講師山本真一先生(日本美術院特待・加藤栄三・東一記念美術館 館長)とアシスタント高橋奈穂子先生を紹介すると共に、展覧会について概要を説明しました。
その後、アートアクション担当者より、本日使用する絵絹が各務原市で作られていること、生産者の方よりご協力いただいていることなどを紹介すると共に、本日のワークショップの概要を説明しました。

 

 

◯「培広庵コレクション 美人画の雪月花」の鑑賞

山本先生と一緒に、「培広庵コレクション 美人画の雪月花」展示室へ入りました。本日予定している活動の参考となる作品の前で立ち止まり、絹本着色など日本画の特徴や魅力について山本先生のお話を聞きました。

◯絵絹に描く

スタジオに戻り、山本先生から日本画制作の基本的なプロセスと本日の活動についての説明を聞きました。本日の活動は、山本先生が用意してくださった人物画の下絵を絵絹に写し取り彩色していくというものです。また、絵絹の良さを充分に引き出すために8割以上を絹の裏から描く「裏彩色」で進めることもお聞きしました。

いよいよ絵絹に描いていきます。初めに下図に沿って骨描きを行いました。墨で輪郭線を描いていく過程を山本先生が見せてくださり、参加者もスタッフも固唾を呑んで見守りました。また、線を描く時の呼吸のタイミングや、線が途中で途切れてしまった時に継続する線を描くにはどうすればよいかといったコツなども話してくださいました。
その後、骨描きに挑戦。会場は、緊張感に包まれ、各々慎重に筆を運びました。

骨描きのあとは裏彩色です。今回のアートアクションでは、水干絵の具を使用しました。基本的に使用する色を高橋先生がつくり、山本先生が裏彩色の仕方を実演してくださいました。絵皿に溶かれた絵の具の付け方や筆の運び方など、様々なアドバイスをいただき、各自描いていきました。

裏彩色が一通り終わった後は、表からの彩色です。着物の絵柄や髪の様子が引き立つよう描き込みました。そして人物の背景には染色和紙を用いました。自分の作品に合う和紙を選び絵絹の背面に配して作品を完成させました。

参加者の意見(アンケート抜粋)

・普通では体験できないような絹本着色ができ、とても貴重な体験だった。とても楽しかった。
・絵絹というものを最近知った。日本にこんな繊細な技法で絵を描くという文化があることを知り、素敵だ。
・初めて絵絹に触れ、難しかったが、とても分かりやすく教えていただき、楽しい時間を過ごすことができた。
・絵絹の感じが不思議で面白かった。
・各務原市が絵絹の産地と知り、とても驚いた。
・もっと時間があるとよかった。