開催概要
- 開催日
- 2023年5月21日(日)
- 開催時刻
- 14:00~15:30(90分)
- 会場
- 岐阜県美術館 多目的ホール、展示室1
- 対象展示
- 「水彩画ー『みづゑ』とよばれた時代から」、「ルドンコレクションから」
- 対象作品
- ・山本 芳翠《田舎家》不詳
- ・矢野 倫真《風景》不詳
- ・坂井 範一《色と形》1966年頃
- ・オディロン・ルドン《年老いた騎士》1890年
- ・オディロン・ルドン《女の像》1890年
- ・オディロン・ルドン《ハムレットについての思い》不詳
- 参加人数
- 12名
所蔵品展「水彩画ー『みづゑ』とよばれた時代から」、「ルドンコレクションから」の作品を鑑賞して《Such Such Such》を体験するプログラムを行いました。
内容
○オリエンテーション
多目的ホールに集合しました。まずはオリエンテーションです。
アートツアーの流れと日比野克彦アートコミュニケーション作品《Such Such Such》について説明をしました。
展示室での注意事項を確認したら、グループごとに自己紹介をしました。今日初めて会う人達と一緒に作品鑑賞を行います。
一人ひとつコネクターボックスをもってツアーに出発です!
○展示室で作品鑑賞!
展示室に移動し、まずは作品をじっくり鑑賞します。
今日のアートツアーではどんな「ナンヤローネ」に出会えるでしょうか。
作品の中で起こっていることや、何が描かれているかを言葉にしていくと、自分はこう感じたけれど、他の人はこう感じているのだ…と気がつきます。
「《女の像》ここに描かれているのは何か布のかたまり?」「私は人の体のようにみえました。」
「《年老いた騎士》ここに描かれているのは戦いに負けた騎士なのかな?仲間は死んでしまったけれど、自分は生き残ってしまった老人の悲しんでいる表情にみえた。」
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○コネクターを選ぶ
「感じ」を言葉ではなく「もの」にたとえてみます。「もの」のことをコネクターと呼びます。ひとつの作品を見たら作品をみたときの自分の気持ちに近いコネクターを選びます。
今回のコネクターは布、色紙、陶片です。質感を味わえるコネクターを選んだので、視覚だけでなく触覚でも自分の気持ちを探っていきます。
「鑑賞した作品に描かれた人物の感情を表すような色紙を選んだ。」
「風景の中の気配のような質感をしている陶片を手にとった。」
「作品に描かれている植物が印象的で、そのモチーフに似た柄の布を選んだ。」
コネクターを選んだ理由も人によって異なります。
3つの作品を鑑賞し、コネクターボックスの中にコネクターが集まりました。
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○スケッチをする
多目的ホールに戻るとスケッチに挑戦です。スケッチを通して自分の感じたことを探る時間です。
どんどん手を動かして自分の気持ちをスケッチで表現する人、コネクターを見つめながら作品を鑑賞していた時の自分の気持ちを思い出して、じっくりスケッチに取り組む人。スケッチも人それぞれの取り組み方があります。
今回のスケッチはコネクターを使って行いました。紙や布は切ったり千切ったりして厚紙の台紙に貼っていきます。立体物である陶片のコネクターもスケッチの中に配置します。
鑑賞した白黒の絵の中にも様々な色があると感じ、色鉛筆を使って表現する参加者の方の姿も見られました。
コネクターを描画材として用いることで異素材のものが組み合わされ、立体的で多層的なスケッチが生まれました。
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○スケッチをもとに交流
どんなことを考えながらスケッチを行ったかグループで交流をしたあと、グループの代表が作品を鑑賞した時の印象深かった点や、コネクターを選んだ理由をスケッチを通して話をしました。
「《田舎家》を見て、昔の土壁のような陶片を選びました。《年老いた騎士》に描かれている人物も時間が経過した感じがしたので、全体的に時間が流れている感じのスケッチになるようにしました。」
「作品を見た時に感じた不安な気持ちで選んだ色紙のコネクターが、陶片のコネクターをトンネルに見立てたものを抜けて、希望に代わっていく様な情景を表現しました。」
「《ハムレットについての思い》で女の人に植物が絡まっていくようなところが印象的だったので、緑の布を細く切って枝のように貼り合わせました。グレーの色紙は戦士の剣を表しています。」
他の人のスケッチを通して、今日の鑑賞を振り返ることができました。
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スケッチ
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参加者の声(アンケートから抜粋)
・自分の気に入った作品ではないものをじっくり見る機会になりました。
・恥ずかしがり屋の子を思い切って連れてきました。絵や工作が好きな子なのでとても良い経験になったと思います。ツアーのスタッフの方二人ともとても優しく接してくださいました。ありがとうございました。
・いろいろな作品が見られてよかったです。
スタッフの振り返り
・鑑賞を通して感じたことを言葉にしてみようとする参加者の方の姿がみられ、鑑賞や交流をふまえスケッチに入るときにスッと自分の表現に入りこんでいたのが印象的だった。
・小さなお子さんのいるグループで、最初は緊張した様子もみられたが、鑑賞を繰り返す中でリラックスしていき、言葉にし辛いこともコネクターを通し自分の気持ちを表現することにつながっていた。
・今回コネクターをスケッチに使用したが、紙の大きさもちょうど良く、陶片を置いたことで世界がぐっと広がり、それが良かった。
・対象作品が小さいと、小さなお子さんには見づらいものもあったので、今後は考慮して対象作品を選びたい。