開催概要

開催日
2024年10月13日(日)
開催時刻
13:30~15:00(90分)
会場
岐阜県美術館 多目的ホール、展示室1・2
対象展示
PARALLEL MODE:山本芳翠 ー多彩なるヴィジュアル・イメージー
対象作品
・《勾当内侍月詠之図》1877年、皇居三の丸尚蔵館
・《裸婦》1880年頃、岐阜県美術館
・《月下の裸婦》1882-86年頃、愛知県美術館
・《ハブ、鳥と闘う》1888年、皇居三の丸尚蔵館
・《磐梯山破裂之図》1888年、皇居三の丸尚蔵館
・《秋の奥日光》1890年、上野精養軒
・《十二支 子「少女の書見」》1892年、三菱重工業株式会社長崎造船所 
・《十二支 未「蘇武北秋に流罪」》1892年、三菱重工業株式会社長崎造船所 
・《十二支 戌「祇王」》1892年、三菱重工業株式会社長崎造船所 
参加人数
10名
参加費
なし

「PARALLEL MODE:山本芳翠 ー多彩なるヴィジュアル・イメージー」を鑑賞し、展覧会の魅力を味わうプログラムを実施しました。

オリエンテーション

オリエンテーションでは日比野克彦アートコミュニケーション作品《Such Such Such》の手法を取り入れた鑑賞の流れや、展示室での約束について確認しました。
アートツアーでは初めて会う人たちと一緒に作品鑑賞をするので、お互いがリラックスして交流できるように自己紹介をしました。

展示室で作品鑑賞

展示室へ移動して岐阜県出身の画家、山本芳翠の作品を各チーム3点ずつじっくり鑑賞しました。
「この作品の中で何が起っていますか?」というチームリーダーの声掛けで対話がどんどん膨らんでいきました。

「横たわっている女性が緑の中でリラックスしているようにみえる。」「水辺も描かれている。湿っていそうな場所に横たわっている。」「音が聞こえてくるような。クラッシクのような厳かなジャンルの音楽かな。」

「薄目を空けて画面より外の何かを見ている。」「何か企んでいるのでは?」「この絵は空想上のいち場面で、月の近くで月光を浴びるほど美しい人を象徴して描いているのでは?」

「画面中央の噴煙の下が黒く表現されているので、急激な空の変化と恐怖感がより増してみえる。」「松のような木がある部分が描かれていることで、逃げ惑う人から磐梯山までの距離が想像できるな。」など、絵の中に描かれていることにふれながら自分の体験にひきよせて話をする参加者もいました。

コネクターを選ぶ

Such Such Such》では作品と、自分が感じたことをつなぐ役割をする物のことを、「コネクター」と呼んでいます。

今回のコネクターは色紙、布、石でした。コネクターが置かれたテーブルや、コネクターをはりつけたファイルから、作品を見たときに近い気持ちのコネクターを選んでコネクターBOXにいれていきました。
自分の気持ちをものに置き換えてみると、自分が作品をみたときに感じたことを言葉にするだけでは得られない感覚が生まれました。
数あるコネクターの中にある違いを比較しながら一つ選び、自分の中の「作品を見た感じってこんな感じかも…?」といった気持ちの変化を具体的な輪郭のある意識の形として表していきました。

スケッチをする

箱の中のコネクターを見て、作品を見たときの自分の感じを思い起こしながらスケッチをしました。
今回は100色色鉛筆を使用してのスケッチで、どの色を使って表現しようかと感じるままに色鉛筆を選択し、スケッチをしていく様子が印象的でした。
自分の感じたことをどのように表してみようか思いをめぐらせ、表現することを通して再度自分の鑑賞した作品に思いを馳せました。

交流する

自分の感じをどのような表現のスケッチにしたのかを見せ合いながらグループで対話をしました。
他のグループの発表を通し、様々な感じ方があったことを知ることもできました。

参加者の声(アンケートより)

「芳翠の絵をなんとなくではなく、対話を通して意味とか色とか構図から考察することが楽しかったです。」
「布や紙、石など(コネクター)を選んで、イメージを保持させるのはとても面白かったです。最後に自身の表現ができたのもよかったです。」

スタッフのふりかえり

・山本芳翠の描く人や風景、物語を鑑賞した参加者に自分たちの生活や経験に引き寄せて想像を膨らませ鑑賞してもらうことができた。作品鑑賞の経験を経て、日常の生活での眼差しに何か変化が起きそうな予感を感じる時間を過ごすことができた。
・展示室内でアートツアー参加者以外のお客様が対話を興味深そうに聞いていたのが印象的だった。ツアーへ興味を持ってもらうために楽しそうなイベントの様子をもっと発信していきたい。