情報科学芸術大学院大学[IAMAS]は1996年日本に開校、英語名称Institute of Advanced Media Arts and Sciencesの頭文字からIAMAS(イアマス)の愛称で呼ばれ、科学的知性と芸術的感性の融合を目指す教育機関である。2年制の専修学校の国際情報芸術アカデミーから始まり、2001年に大学院大学のIAMASが併設、現在は、大学院大学に特化している。

IAMASは、電子メディアとグローバルなネットワーク環境のもたらす言語、国家を超えた多様な価値観の中で活躍できる国際的な人材の養成を念頭に置いている。それに伴って、学生の交換留学、世界の先端メディアのトップアーティストを迎えてのインタラクティブ・アートの展覧会「インタラクション」と国際シンポジウムからなる「世界メディア文化フォーラム」、リンツ(オーストリア)の「アルス・エレクトロニカ」でのキャンパス展示、そして客員芸術家の招聘という形でのアーティスト・イン・レジデンスが行われてきた。その成果は、1995年から2001年まで隔年で開催された「インタラクション」での展示だけでなく、2000年には東京都写真美術館で開催された「アーティスト・イン・レジデンス展」など学外を含む展覧会で発表され、IAMASのある大垣市内で展開することとなった「岐阜おおがきビエンナーレ」が2004年に始まると、そこでも展示されるようになった。

教育機関がアーティスト・イン・レジデンスを主宰するゆえに、アーティストとIAMASの学生、教員が交流しながら制作、展示が行われてきたという特徴が見受けられる。また、招聘されたアーティストは、滞在費と技術的な協力をIAMASから受けながら、自身の展覧会や、IAMASのかかわる展覧会に出品していた。1996年から2001年まで、国際的評価を得ていたアーティストや研究者を招聘することで、IAMASは世界の先端メディア研究教育機関のネットワークを形成してきた。IAMASが同分野で世界的に認知されるにともない、公募に変わっても優れた作家がレジデンスに名のりを上げ、学生への教育と学内への刺激のある作家を選考することができた。この変化は、既成の優れた作品を集めた「世界メディア文化フォーラム」から、現地制作を中心とした「岐阜おおがきビエンナーレ」への変更と時期を同じくしている。

同校でのアーティスト・イン・レジデンスについて2007年までのものをまとめた報告書を発行する。20人の国内外のアーティストの滞在制作の成果と寄稿文を掲載すると同時に、招聘作家に日常関わってきた助手達が当時の状況と開催意義を書き残している。翌2008年に最後となるアーティストを一人招聘して、毎年行われてきたIAMASのアーティスト・イン・レジデンス事業は終了した。

https://www.iamas.ac.jp/