所蔵品展「日本からメキシコへ、メキシコから日本へ キシオ・ムラタ展」ほか、展示作品を鑑賞して、
日比野克彦アートコミュニケーション作品《Such Such Such》を体験するプログラムを行いました。

開催概要

開催日時 2022年6月26日(日) 14:00~15:30(90分)
会  場 岐阜県美術館 多目的ホール、展示室1
対象展示 「日本からメキシコへ、メキシコから日本へ キシオ・ムラタ展」
「1980年代の美術」「ルドンの色」「ぎふの日本画 東に歩む」
対象作品 キシオ・ムラタ《異人館》 1952年
キシオ・ムラタ《空港》 1956年
キシオ・ムラタ《田園》 1964年
キシオ・ムラタ《カリブ海の燈台》 1972年
キシオ・ムラタ《月影》 1978年
遠藤利克《天使のためのプラン》 1989年
日比野克彦《SHINJUKU SPECIAL》 1983年
オディロン・ルドン《翼のある横向きの胸像(スフィンクス)》 1898-1900年頃
加藤東一《望郷》 1993年
長谷川朝風《苑》 1967年
参加人数  15名

内容

○はじめに

多目的ホールでのオリエンテーションを通して、日比野克彦アートコミュニケーション作品《Such Such Such》の内容や流れ、展示室での約束などを確認します。

○ツアー開始−まずは自己紹介

ナンヤローネアートツアーは、作品鑑賞やグループ交流を通して自身が感じている「感じ」を確かめたり、他者の「感じ」を聞くことで、互いの「感じ」を深め、人と人とがつながることを目指します。
そのため、オリエンテーション後に各グループ最初の交流(自己紹介)の場を設けることで、まず「お互いを知る」ことも大切にしています。

コネクターボックスをもって展示室へ

グループリーダーの案内で対象作品の前に移動し、作品を見ながら自分が感じたことについて交流します。
子どもも大人も「〇〇に見える」「〇〇な感じがする」といった様々な発見や「感じ」を話したり、
聞いたりすることで交流を深めました。

近くから、遠くから、作品をじっくり見ます

様々な発見や「感じ」について交流します

○自分の「感じ」に近いコネクターを選びます

作品鑑賞後、コネクター(※)が並べられたテーブルの前に移動します。
グループリーダーの案内後、作品鑑賞を通して自分が感じた「感じ」に近いものを1つ選び、自身のコネクターボックスに入れます。それぞれが選んだコネクターについて、その場でグループ交流しました。

※コネクターとは?
鑑賞した作品と、自分が感じたことをつなぐ役割をする物のこと。

たくさんのコネクターの中から1つ選びます

選んだコネクターは自身のボックスの中に入れます

○作品鑑賞を終えたら...


3作品の鑑賞を通してコネクターを3つ集めたら、再び多目的ホールへ。
スタッフの説明後、集めたコネクターを見て、作品を見たときの「感じ」を思い出しながら、色鉛筆でスケッチをします。
手早く画用紙に色をのせる人、思いを巡らせながらじっくり描く人、話しながらスケッチを楽しむ親子といったように、スケッチの取り組み方も様々でした。

○最後に−スケッチ交流

描いたスケッチをもとにグループ交流。
作品鑑賞を通して、それぞれが感じた様々な「感じ」について話し合いました。
グループ交流の後は、参加者全員で全グループのコネクターとスケッチを見てまわりました。
ツアーの最後は、各グループの代表者がコネクターとスケッチを発表。
今回も交流を通して様々な「感じ」を見る、話す、そして聞くことができました。

コネクターとスケッチ

参加者の声(アンケートから抜粋)

・美術館で楽しめたことがよかったです。いつもと違う子どもの話、感じ方が分かってよかったです。
・子どもたちにも分かりやすい言葉で気持ちを引き出していただけたのでとても楽しめました。
・なかなか自分の思っていることを伝えられない娘がアートツアーを通じて少しずつ表現することができている姿を見れて嬉しかったです。

スタッフの振り返り

「伝えたいけど、伝えられない。」

人前で自分の気持ちを話すときに感じる、言い表せないもどかしさや恥ずかしさ、不安な気持ち...とても共感します。
美術館スタッフとして、一人の人間として、「伝えたい」と思う積極的な気持ちに感謝し、その思いと葛藤する「伝えられない」という気持ちや振る舞いも、参加者の表現として受け入れる。
参加者に寄り添い、居心地の良い場づくりを心がけることで、アートを介したコミュニケーションを深めていく。

今回のアートツアーで感じたこの気持ちを、これからも大切にしていきたいと思いました。