所蔵品展「さかのぼり洋画史 平成・昭和編」の作品を鑑賞して《Such Such Such》を体験するプログラムを行いました。
開催概要
開催日:2023年9月3日(日)
時 刻:14:00~15:30(90分)
会 場:岐阜県美術館 多目的ホール、展示室1
対象展示:「さかのぼり洋画史 平成・昭和編」
対象作品
・奥村晃史《ストレージ・シープ》2009年
・奥村晃史《地上の食卓》2009年
・傍島幹司《赤と白の時間》2003年
・石川勇《無題》年代不詳
・河合祐司《メモランダム’95 無題》1995年
・坂倉新平《内なる光ー地中海の朝》1992年
参加人数:15人
内容
○オリエンテーション
美術館多目的ホールに集合しました。まずはオリエンテーションです。
はじめに、アートツアーの流れと日比野克彦アートコミュニケーション作品《Such Such Such》について説明をしました。
展示室での注意事項を確認し、グループごとに自己紹介をしました。今日初めて会う人達とも一緒に作品鑑賞を行います。
一人ひとつコネクターボックスをもってツアーに出発です!
○展示室で作品鑑賞!
展示室に移動し、まずは作品をじっくり鑑賞します。
作品から自分が感じたこと、疑問や発見などを言葉にしたり、他の人の感じ方や気づきを聞いたりしながら、作品を見つめていきます。
《ストレージ・シープ》
「冷蔵庫の中の白菜や果物を羊が食べようとして中に入ったのだと思う。」「羊、死んでるの?」等
《地上の食卓》
「ウサギの穴は画面左奥からテーブルにつながっていて、テーブルの上の食パンはウサギが食べてしまったんだと思う。」「奥のネズミはひとりぼっちにみえる。これから穴を掘って会いに行くのかも。」等
《赤と白の時間》
「悲しい気持ちに見える。」「変なポーズをしている。」「休らいでいるようにも見えるが悔しがっているようにも感じる。」 等
《内なる光ー地中海の朝》
「氷?北極?寒そう。」「灰色の雲があるから雨が降りそう。」「綺麗、鉱物みたい。」
《無題》
「文字のようないろいろな形や模様が描かれているようで、わくわくする印象を受ける。」「リボンのような形が描かれている。」等
《メモランダム’95 無題》
「パチパチいう花火みたい。」「ハンバーグが焼けて焦げて黒いのがでているよう。」 等
作品から受けた率直な感想を交流しました。
○コネクターを選ぶ
作品を見て感じたことを言葉ではなく「もの」に例えてみます。「もの」のことをコネクターとよびます。ひとつの作品を見たら、作品を見たときの自分の気持ちに近いコネクターを選びます。
今回のコネクターは「歴史の記憶(感情)につながるもの」「食につながるもの」「時や光につながるもの」です。コネクターの形や機能、材質感、色や模様などから、気持ちを探っていきます。
《無題》石川勇→クラッカーを選択
「絵の中に描かれたリボンのような形が気になったこのリボンのような形が飛び出してくるような気がして。」等
《地上の食卓》→小さな食器のミニチュアを選択
「ウサギ用のものの小さいサイズに見えてきた。」等
《赤と白の時間》→フィギュアを選択
「絵の中の人物の目が描かれていなかったので、目が描かれたフィギュアを選んだ。」等
○スケッチをする
3つのコネクターが集まり、多目的ホールに戻りました。コネクターを見つめながら、感じた時の気持ちを思い起こし、今自分が感じていることを色鉛筆でスケッチします。
○スケッチをもとに交流
「青く冷たい感じ、打ち上がる花火のキラキラした感じ、冷蔵庫に閉じ込められた不思議な感じを表現しました。」
「どうしてかな?これはなんだろう?と思った気持ちが表れるコネクターを選んだので、どうやって表現すれば良いのかずいぶん迷いました。」 等
参加者の声(アンケートから抜粋)
・子どものよい経験になりました。
・こんなに真剣に絵を見る娘を見られてよかったです。
・人と一緒に見ることで違った見方を知ることができ、新しい発見ができました。
・グループ内で絵を見て自由に話し、様々な見方があることを知れ、多様性を楽しく受け止められました。
・感覚をモノで表現し、最終的にスケッチする流れがアイディア出しにも良いと思いました。
・初めて参加させていただき、感想を聞かれてびっくりしました。まあまあ私なりに参加できました。等
スタッフの振り返り
・幅広い年代の方に参加いただけ、作品に対して様々な点から気づかれたことや感じられたことの交流がなされました。
・コネクターを介した表現にも熱心に取り組まれ、充実した活動になりました。
・作品についての解説を聞けると思い参加されたお客様が、活動当初戸惑われておられ申し訳なく思いました。アートツアーの活動について、丁寧にご案内できるよう心がけていきます。