企画展「越山若水が育んだ美ー福井県立美術館・若狭歴史博物館名品展ー」の展示作品を鑑賞して、
日比野克彦アートコミュニケーション作品《Such Such Such》を体験するプログラムを行いました。
開催概要
開催日時 | 2023年10月22日(日) 14:00~15:30(90分) |
会 場 | 岐阜県美術館 多目的ホール、展示室3 |
対象展示 | 「越山若水が育んだ美ー福井県立美術館・若狭歴史博物館名品展ー」 |
対象作品 | 作者不詳《阿弥陀如来坐像》 平安時代中期(10世紀後半〜11世紀頃) 作者不詳《迦楼羅立像》 中国・南宋時代(13世紀) 岩佐又兵衛勝以《和漢故事説話図 近藤師経と寺僧の乱闘》 江戸時代 安田靫彦《天之八衢》 昭和14年(1939) 三上誠《F市曼荼羅》 昭和25年(1950) 元永定正《作品(仮題)》 平成4年(1992) |
参加人数 | 7名 |
内容
○はじめに
アートツアーの趣旨から日比野克彦アートコミュニケーション作品《Such Such Such》の内容、展示室での約束などを確認します。
○ツアー開始!−最初のグループ交流
オリエンテーション後、各グループで最初の交流(自己紹介)をします。ナンヤローネ アートツアーでは「お互いを知る」ことも大切にしています。
○展示室で作品をじっくり見る→グループ内で交流
作品をじっくり見ながら、自分が感じたことについて交流します。
今回は仏像(!)を見たり、掛け軸を見たり、現代の絵画をみたりしてどんな「感じ」がするか、
子どもも大人も様々な発見や想いを話したり、聞いたりすることで交流を深めました。
○自分の「感じ」に近いコネクターを選びます
作品を鑑賞して感じたことを言葉で表すことは難しい...
そこで“コネクター”の登場です。
コネクターは、鑑賞した作品と、自分が抱いた「感じ」をつなぐ物のことです。
《Such Such Such》では、鑑賞や交流を通して自分が抱いた「感じ」に近いものを1作品につき1つ選びます。
コネクターが参加者の見えない「感じ」を代弁するきっかけとなり、選んだ理由や自分の想いなど、話がはずみます。
○自分の「感じ」をスケッチ
3作品の鑑賞を通して3つのコネクターが集まりました。
今度は集めたコネクターを見ながら、作品を見たときの「感じ」を思い出しつつ色鉛筆で自分が抱いた「感じ」をスケッチします。
○グループ・全体で交流
思い思いに描いたスケッチをもとにグループ交流します。
作品鑑賞を通して各々が抱いた「感じ」について、コネクターを交えて話し合いました。
グループ交流後は、他のグループの参加者が選んだコネクターやスケッチを鑑賞しました。
ツアーの最後は、各グループの代表者がコネクターとスケッチを発表。
今回も《Such Such Such》を通して人それぞれが抱く多様な「感じ」を見て、聞いて、話すことができました。
コネクターとスケッチ
参加者の声(アンケートから抜粋)
・同じ作品でも、全然違う所に注目していたり、こんな感じ方もあるのか!とおどろきもあって楽しかったです。
・新しいアートの見方を体験できました。
・見るだけではなく、コネクターに「感じ」を投影したり絵に表したりする体験によって、改めて自分とも作品とも向き合えました。他人の意見に触れて見方が広がりました。楽しかったです!!
スタッフの振り返り
仏像で《Such Such Such》!
美術館での鑑賞体験として好機と捉えつつも、稀有な試み故にスタッフは動向を見守っておりました。
ツアーが進むにつれグループ交流も想像以上に広がりや深まりをみせ、参加者それぞれの「感じ」を共有できたと思います。
絵画でも、掛け軸でも、彫刻でも、仏像でも...
多様な表現による作品鑑賞を通して、見えない「感じ」に思いを巡らせるひとときは、
参加いただいた方々にとってきっと特別な体験になったと信じています。
作品にまつわる題材やエピソードにも興味関心が尽きませんが、
作品を間近に見ながら、湧き上がる自分の「感じ」を物(コネクター)を通して探し求める行為もまた、
美術館の楽しみ方のひとつになり得ると、しみじみ思うひとときでした。