#SuchatHOME 〜ながラーとミュージアム・ミーティング

2020年10月〜11月、岐阜県美術館の作品をZoomで〜ながラーと鑑賞し、お家にあるものを使って《Such Such Such》を体験するオンラインワークショップを開催しました。

#SuchatHOME 〜ながラーとミュージアム・ミーティング

開催概要(全4回)

第1回 10月10日(土) 14:00〜16:00
参加人数 参加者 11名 / 〜ながラー 4名
鑑賞作品 オディロン・ルドン《『夜』Ⅲ.堕天使はその時黒い翼を開いた》
服部しほり《展墓記》
ジャコモ・マンズー《大きな枢機卿》

 

第2回 10月24日(土) 14:00〜16:00
参加人数 参加者 9名 / 〜ながラー 3名
鑑賞作品 オディロン・ルドン 《大きな樹》
熊谷守一《萬の像》
李禹煥《関係項》

 

第3回 11月8日(日) 14:00〜16:00
参加人数 参加者 10名 / 〜ながラー 3名
鑑賞作品 熊谷守一《野菜》
オディロン・ルドン《薔薇色の岩》
天野裕夫《バオバブ・ライオン》

 

第4回 10月21日(土) 14:00〜16:00
参加人数 参加者 8名 / 〜ながラー 4名
鑑賞作品 オディロン・ルドン《薔薇色の岩》
熊谷守一《百日草》
鯉江良二《森ヲ歩ク》

 

 

当日のながれ

メンバーが揃ったら、まずは岐阜県美術館の紹介からスタート! 岐阜県美術館がある地域のことや、4200点のコレクションについて、美術館スタッフからお話ししました。

はじめに、お家にあるものを1つ選んで自己紹介。「好きな色のもの」「気になる形のもの」など、テーマは日替りです。

 

「毎日持ち歩いているもので…」「こんな思い出があって…」「普段は使ってないものですが…」さっそく色々なものが登場!  それぞれの方の個性が見えたり、偶然おなじものを持ってきた人がいたりと、お家ならではの交流が生まれました。

ここからはブレイクアウトルームに分かれて、3〜4人のグループで作品を鑑賞します。
鑑賞の進行役となるのは、アートコミュニケーター「〜ながラー」です。「まずはじっくり見てみてください。どんなことを感じましたか?」作品を見る人の言葉を大切に、様々な視点から想像をふくらませてみました。

《『夜』Ⅲ.堕天使はその時黒い翼を開いた》鑑賞の様子

作品を見たあと、お家のなかから「コネクター」になるものを選んできてもらいます。コネクターとは、作品と自分をつなぐもののこと。
それぞれが持ってきたものを紹介すると、同じ作品を見ていても、異なるところに注目していることや、「感じ方のちがい」がはっきりとわかってきます。「え〜、そんなもので表現したの!?」と、驚きの連続です。

2つの絵画作品を画像で鑑賞したあと、今度は屋外にある彫刻作品を、中継で鑑賞します。美術館スタッフがカメラを持って、彫刻を様々な角度から映します。近づいたり、遠ざかったり、見上げてみたり…。

《バオバブ・ライオン》の中をのぞくと・・・

《関係項》にクローズアップ!

 

「なんだか不思議なかたち…」「表面にはこんなものがくっついているの!?」「写真で見るのとは全然ちがう!」「地面から生まれてきたみたい」「なんでここに置いたんだろう?」
画面に顔を寄せて、すみずみまで観察する様子が伝わってきました。

3つの作品を見て、3つのコネクターを選んだら「スケッチ」の時間です。

コネクターを手がかりにして、自分が作品から感じたことを表現してみるのが「スケッチ」。上手な絵ではなく、作品を見たときに、自分のなかに残ったものを表出する試みです。

ゆっくり時間をとって、それぞれの表現に取り組んでもらいました。
一心不乱に画用紙に向かう人、音楽を聴きながら描いている人、ものをくみあわせて表現する人…。日本のいろんな所で、集中してスケッチする時間を共有しました。できた作品は、「せーの!」で公開!

ここから、先ほどとは違うメンバーでのブレイクアウトルームへ。スケッチを紹介しながら、作品を見た時の話題や、コネクターについてもお話ししてもらいました。

最後にもういちど全員の作品を見て、プログラムは終了。
「2時間があっという間!」「もっと見て、話して、作りたい!」という声も多く聞くことができました。いつの日か、今度は岐阜県美術館で会えたら嬉しいですね!

参加したみなさんの「コネクター」と「スケッチ」(抜粋)

参加者のアンケートから(抜粋)

  • オンラインで美術館のアートを楽しむのに、こんな方法があったかと、驚きつつ楽しく参加させていただきました。作品鑑賞は、とても和やかな雰囲気で話しやすかったです。
  • なかなか直接、岐阜県の美術館に足を運ぶ機会はありませんが、今日のように遠く離れた美術館に親しみを感じ、遠く離れた人達と同じ豊かな時間を共有できたことは、このコロナの状況下にオンライン化が進んだことで、思いがけなく手に入れたことですね。
  • 89歳の母と一緒に参加させていただきました。高齢でなかなか美術館に足を運べない母にとって、こうしたオンラインワークショップはとても嬉しい試みです。親子で共有する時間を作っていただき、感謝しています。
  • 各地から参加されている方々が、それぞれにスケッチしているって、素敵ですね。オンラインで、こんなに満足し、楽しいワークショップができること、新たな体験でした。2時間があっという間に感じました。
  • 他の人の感じた内容を聞いて、作品の見え方が変わりました。中継で彫刻を見るところはとても良かったです。広い空間が映り、美術館とつながっていることを実感できた感じがしました。楽しかったです。
  • とても素敵な企画だと思いました!「いつか絶対に訪れたい!」と娘と話しております
  • 東京都内のワークショップ(オンライン含めて)に参加することはありますが、都外のワークショップに参加できたことが、オンラインならではだと思いました。この時間を前向きに捉えることができ、気持ちが晴れる時間となりました
  • アートの作品は一人で見ても感じることがありますが、このワークショップのように、複数の人と一緒に鑑賞し、そこから感じる思いをさまざまに表現してみると、「私」と作品との間が複数のチャネルで繋がるように感じられます。良い体験でした。今後の「〜ながラー」のみなさんの活躍に期待します。

〜ながラーのふりかえりから(抜粋)

  • 美術館初めてのオンラインでの催しに参加できて、とても楽しめました。今までにない美術館の、新しい楽しみ方のメニューが増えたような気がします
  • 開催前は不安でしたが、参加者のみなさんに助けられ、とても楽しい時間となりましたし、改めて作品を通して会話するおもしろさを認識することができました。
  • 2回目の参加。今回も、同じ絵を見ても全くちがう見方ができる楽しさを感じることができました。
  • 話をしっかり聞く、というのは、やはり慣れていないとなかなか難しいです。しかし、今日は岐阜県とは遠く離れた方たちと、同じ作品を見て語り合う素敵な時間を過ごすことができて、とても楽しかったです。

スタッフノート

画面越しに、たくさんの笑顔が見えました!

展示室で本物の作品を鑑賞することと、オンラインで作品画像を見ることは全くちがう体験です。「でも、こんな時だからこそ、美術館から届けられることがあるとしたら…?」そんなアイデアから生まれたのが、このプログラムです。いつも美術館で大切にしていること – 作品をよく見て発見すること、他の人とのちがいを認めあうこと、自分の手で表現すること – を、それぞれのHOMEで実践してもらっています。また、コロナ禍で活動を始めたアートコミュニケーター「〜ながラー」にとっては、初めて参加者と出会う機会になりました。たくさんのHOMEをつないだ時間は、想像していたよりもずっと楽しく、アートとコミュニケーションの可能性をたくさん見つけることができました。

オンラインという環境を活かして、岐阜県美術館になじみ深い人はもちろん、遠方(東京、神奈川、千葉、埼玉、山口など)の方や、まだ岐阜に来たことがない方、他の美術館でボランティアをされている方、高齢の方、障害をお持ちの方…などなど、初めてお会いすることができた方がたくさんいます。また、このプログラムに参加して「初めて《Such Such Such》の楽しさがわかった!」というコメントも。2回、3回と続けて参加し、新しい挑戦をしてくださった方もいました。

選んだコネクター、完成したスケッチは、それぞれの人が思い描いた岐阜県美術館です。これからもみなさんのHOMEに向けて、美術館をもっと楽しめるイベントや、つながるためのアイデアを、〜ながラーと一緒に届けていけたらと思います。