音を聴きながラー アート鑑賞BOOK〈音×アート丸〉

「この舟のろう式」による活動の記録を、〜ながラーの視点からふりかえり、アーカイブとして掲載します。
今回は<音×アート丸>が実施した「音を聴きながラー アート鑑賞BOOK」の制作の様子をお届けします。

【活動期間】2022年4月~2023年2月

【メンバー】
1期:鈴木宏明 西村郁実 藤井理恵 溝口美保 宮原紀子
2期:高木尚子

「音を聴きながラー アート鑑賞BOOK」を企画

音とアートを組み合わせて楽しむ方法として、「音を聴きながラー アート鑑賞BOOK」を作ることを企画しました。手のひらサイズの冊子は、美術館の中でも外でも、バッグやポケットに入れて気軽に持ち歩けます。

展示室の作品の前でアート鑑賞BOOKを開いて音を聴きながら鑑賞することで、無音で鑑賞する時とは違う感覚が生まれます。また自宅へ持ち帰って鑑賞を楽しむこともでき、さらに、鑑賞者が作品に合う音を自身で見つけ出す楽しさも用意しました。

これらの鑑賞を通して岐阜県美術館の所蔵作品を知って親しみを持ってもらい、美術館の楽しみ方や作品鑑賞の幅を広げることを目的としました。

主にGoogle Arts & Cultureの岐阜県美術館のページに掲載されているオディロン・ルドン作品や岐阜県美術館の所蔵作品に~ながラーが作品を鑑賞して感じたイメージやシチュエーションに合う音をつけました。それを冊子形式で紹介し、来館者の方は冊子のQRコードを読みとることでYouTubeにアップロードされた音を聴きながら作品を鑑賞することができます。

対象作品は6作品と前田青邨展の作品1点を加えた7作品を選定。また、これまで~ながラーが様々な場所で録音して収集した音をまとめた音源をYouTubeでアップロードし、来館者の方が岐阜県美術館の作品の前で音源の中から気に入った音をさがしてもらい、それを聴きながら鑑賞できる動画も用意しました。

館内に配置

2022年11月3日にアート鑑賞BOOKを印刷し、館内に配置開始しました。この日は前田青邨展の会期中かつ、無料開館日であったため、多数の来館者の手に取ってもらえて、実際に動画再生も配布数と同等程度だったようです。

前田青邨展終了後は、アート鑑賞BOOKの内容を一部変更(前田青邨作品の掲載から、舟メンバーが音とアートを楽しんでいる写真に差し替え)し、再び館内に配置しました。

「開館40周年記念 美術館の名品ってナンヤローネ 岐阜県美術館名品尽くし!」に展示されている所蔵作品も掲載されていますので、たくさんの人に音とアートを楽しんでもらえることを期待しています。

ふりかえり

実際に鑑賞会をしてみて...

2023年2月5日に、メンバー全員でできあがった冊子を手に、展示室内の作品の前でイヤホンで音を聴きながら鑑賞をしてみました。当日、幸いにも冊子に掲載されている作品は《裸婦》(山本芳翠作)以外はすべて展示されていたので、それぞれの作品の前で鑑賞しました。

実際に絵の前で鑑賞してみると、写真で見る時とは違い、作品そのものが持つ質感に加えて私たちが考えた音が組み合わさることで、まるで作品全体が音に合わせて揺らめいているかのような感覚を覚えました。

私たち「音×アート丸」は音とアートを組み合わせた新たなアート体験を追及していきました。私たちの活動によって音とアートが持つ力を引き出せたなら幸いです。

最後にこの素晴らしいメンバーで活動ができたのも、岐阜県美術館のスタッフや、頼りになる~ながラーのメンバー、そして美術館に訪れていただいた来館者の皆様のおかげです。短い間でしたがありがとうございました。

これを読まれている皆様も、ぜひお気に入りの作品の前でどんな音が合うか思いを巡らせてみてくださいね。

執筆:〜ながラー 鈴木浩明(1期)、高木尚子(2期)