【基礎ゼミ】第4回<岐阜県美術館を知る>

【基礎ゼミ】第4回

実施日:2022年5月28日(土)10:30~15:00
会場:岐阜県美術館 講堂、展示室
講師:青山訓子(岐阜県美術館 学芸課長)
岐阜県美術館の成り立ちや所蔵品、岐阜とその土地に集まった作品、日比野克彦館長のアートコミュニケーション作品《Such Such Such》について学びます。

 

岐阜県美術館を知る

午前中は岐阜県美術館の学芸員である青山訓子学芸課長が講師を務めました。
当館は今年で開館40周年を迎えます。これまでどんな歴史を歩んできたか、コレクションの歩みとともに、これから岐阜県美術館を舞台に活動する~ながラーに向けて講義をしました。

岐阜県美術館の歴史

当館に収蔵されている作品をはじめ、過去に開催された展覧会、施設の変遷等を当時のエピソードを交えながら、多くの資料と共に時代を追って紹介がありました。
現在、当館を代表するコレクションである、ルドンの収集や岐阜県のゆかりのある作家の紹介など美術館の中で核となっている資料をみていきます。
どのような経緯で美術館に収蔵されたのか(購入、寄贈、寄託等)、その時の美術館の様子や、県の文化に対する考え方など当時を知る青山学芸課長のお話によって鮮明に雰囲気が伝わってきます。

青山学芸課長から〜ながラーに向けて

青山学芸課長は~ながラーとの美術館での活動を楽しみにしていると話してくれました。
よりよい未来につなげる一員として活動する、アートコミュニケーターとして岐阜県美術館への理解がさらに深まりました。

《Such Such Such》

午後からは日比野克彦館長のアートコミュニケーション作品《Such Such Such》を体験しました。

展示室で鑑賞をする

グループを作り、展示室へ移動し、作品を*ファシリテーターと共に鑑賞します。
ファシリテーターを務めてくれたのは2期の〜ながラーです。

*ファシリテーター…参加者の意見を聞きながら円滑にグループの話し合いを進めていく人。発言者の意見を受け止め、更に他の鑑賞者の意見を聞いたりします。

2期のメンバーたちは、舟の活動で対話型鑑賞を取り入れた活動を多く行っており、お互いにとって対話型鑑賞を行うよい実践の場となりました。
作品を前にして自由に思ったことを同じグループになった人と自分の言葉で話してみたり、相手の感じたことを聞いたりします。それを受けて自分はどう感じたか?連鎖的に話が広がっていきます。

 

コネクターを選ぶ

鑑賞した作品と、作品から自分が感じたことを「結びつけるもの」を「コネクター」とよびます。
近い気持ちの色や形、質感など、コネクターの選び方も人それぞれです。
悩み始めると選べなくなる…とつぶやく~ながラーの姿も見られました。

スケッチをもとに交流する

選んだコネクターを色鉛筆を使ってスケッチします。作品を見た時の気持ちを思い出したり、表現に悩んだりしながらもどんどん手を動かしていきました。
スケッチの後は自分は作品についてどう感じ、どうしてそのコネクターを選び、どんなスケッチをしたのか、グループで話をしました。
他の~ながラーの選んだコネクターやスケッチを見て回ります。同じ作品を見ていても出てくる形は多様なものがあり、誰かと鑑賞をする面白さがありました。活発に意見を交わしあう充実した時間となりました。

〜ながラーのふりかえり

・岐阜県美術館の発祥〜現在に至る歴史を知ることで、岐阜県美術館が近い存在のように感じました。(背景を知ることは大事だと気付きました)

・県美の歴史とともに作品収集や展覧会のエピソード、大変興味深く、楽しく聞かせていただきました。帰宅後、昔の図録、チケット、パンフレットを見返すと、お話に出てきた企画展や出来事と結びつき、懐かしい思いでいっぱいでした。

・何気なく美術館で作品を観賞するその作品の裏側には、多くの方々の熱意と労力、人と人との繋がりのリレーの歴史があることを教えていただきました。

・《Such Such Such》ではただ作品の模写ではなく、それぞれの感想や考えを織り交ぜて再構成することで作品と鑑賞者の相互の交流にもなる気がして面白かったです。鑑賞の感想をアート行為にまで高めるという発想の転換を見習いたいです!

・午後の部で対話型鑑賞をやってみて、これは楽しいなと思いました。ほかの人の感じ方に触発されて、自分ももっと深く鑑賞しようとすると、はっと思いつく瞬間がありました。その感じをものにたとえて絵に描く、というところになると、正直に言ってよくわからなかったのですが、他の方の絵と、その絵を描いた気持ちを聞いてなるほどと思いました。わかるとかわからないとかにとらわれずに、今後もいろいろやってみたいです。

・一緒にまわった人たちの絵を見て、「あーそうか」「えーそう感じるのだ」「そんな発想素敵」と思いながら、自分の拙い絵にも「色が素敵、わかります」なんて感想をもらうと嬉しくなったりしました。

スタッフノート

青山学芸課長の専門分野である、日本画の話では技法や顔料について、作品の背景や作家の紹介を含め、更に詳細なお話があり、今後の岐阜県美術館の展示や変化が楽しみになるような講義を聞くことができました。
午後の《Such Such Such》の体験では自由に言葉を紡ぐことのできる場として、〜ながラー同士のコミュニケーションの時間となり、当館での取り組みをより知ることができる時間となりました。
岐阜県美術館を舞台に活動する〜ながラーはさらに自分たちのいる場所について知ることができ、今後の活動も一層熱量の高いものになっていくのではないでしょうか。