館長挨拶

美とふれあい、美と会話し、美を楽しむ。

岐阜県美術館は1982(昭和57)年11月3日に開館しました。そしてこのたび2019(令和元)年11月3日に約1年間の改修工事を経て、リニューアルオープンしました。
リニューアルオープンにあたり、これまでのテーマ「美とふれあい、美と対話する」を改め、「対話」を「会話」に、そして「美を楽しむ」を加えました。学芸スタッフが中心となって展覧会をつくり「美とふれあう」場を創造し、教育普及スタッフが中心となって「美と会話」する場を創り出し、新たにアートコミュニケーションチームを置いて「美を楽しむ」時間、空間を来館者とともに育んでいきます。

また、アートの魅力をより多くの人に体感してもらおうと始めた「ナンヤローネ」の活動をさらに進化させていきたいと考えています。また館内にはコンセルジュ機能をもつ「ナンヤローネステーション」が現れます。ここには美術館の情報を全て集約させ、美術館での過ごし方を提案します。そして、新たに設けたコミュニケーションルームにはアートコミュニケーターたちの拠点をおき、美の楽しみかたを生み出す場として機能していきます。この中にはキッズコーナーも新設されます。パイプオルガンやミケランジェロの模刻のある多目的ホールには、ゆっくりとコーヒーなどが飲めるカフェコーナーを設置します。ミュージアムショップ「ナンヤローネSHOP」も商品をより充実させていきます。展覧会の鑑賞だけでなく、いろいろ楽しみながら、ゆったりと過ごすことができる美術館になります。

美術館は作品を鑑賞するだけでなく、地域性や館のオリジナリティを発信し、人々の交流を通して、ものを生み出していく場でもあります。2016(平成28)年から人とアートをつなぐキーワード「ナンヤローネ」を軸にさまざまなプロジェクトを展開していますが、「ナンヤローネワークショップ」に「ナンヤローネアートツアー」、「アーティスト・イン・ミュージアム」や「アートまるケット」など、人とアート、地域とアート、人と人、人と地域をつなぐ活動をめざし、美術館がより多彩なかたちでアートを体験できる場となることを願っています。

岐阜県美術館 館長 日比野克彦

ナンヤローネ

この絵を描いた人は誰なんやろーね。なんで絵を描くんやろーね。
なんで絵をみるんやろーね。
いつでもどこにでもなんで絵を描く人、
みる人がいるんやろーね。なんかあるんやろーね。
アートってなんやろーね。

ナンヤローネとは? SuchSuchSuch あんな そんな こんな

日比野克彦館長 プロフィール

1958年 岐阜市生まれ。1982年 東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。1982年 日本グラフィック展大賞受賞。1984年 東京藝術大学大学院美術研究科修了。2015年度芸術選奨文部科学大臣賞(芸術振興部門)。大学在学中に段ボールを用いた作品で注目を浴び、国内外で個展・グループ展を多数開催する他、舞台美術、パブリックアートなど、多岐にわたる分野で活動。1986年シドニービエンナーレ、1995年ベネチアビエンナーレ日本館作家として参加。近年は、各地で一般参加者とその地域の特性や関係性、人々の違いを生かしたアートプロジェクトやワークショップを数多く行っている。

2006年、日比野の個展が岐阜県美術館で開催されたことをきっかけに、市民との協働制作を展開。1から12までの数字の行灯を屋形船に取り付け、冬至の日に岐阜市の長良川に浮べ流すことで1年の時に想いを馳せる「こよみのよぶね」(2008- )、を始める。「明後日新聞社 文化事業部/明後日朝顔」(2003- )「アジア代表日本」(2006- )「瀬戸内海底探査船美術館」 (2010- )「種は船航海プロジェクト」(2012- )等。2015年より岐阜県美術館長に就任。

2015年からは障がいの有無、世代、性、国籍、住環境などの背景や習慣の違いを超えた多様な人々の出会いによる相互作用を、表現として生み出すアートプロジェクト「TURN」を監修。2017年度から東京2020公認文化オリンピアードとして実施。2017年度から「アート×福祉」をテーマに「多様な人々が共生できる社会」を支える人材を育成するプロジェクト「Diversity on the Arts Projects(通称:DOOR)」(2017- )を監修。

現在、岐阜県美術館長。東京藝術大学長。日本サッカー協会社会貢献委員会委員長。東京都芸術文化評議会専門委員。