展示室3
岸田劉生展 ―写実から、写意へ―

2020年11月14日~2021年1月17日

岸田劉生(きしだ りゅうせい)(1891〔明治24〕年~1929〔昭和4〕年)は、ジャーナリストや実業家として知られる岸田吟香(ぎんこう)の四男として東京に生まれました。画家を志すようになると、はじめゴッホやセザンヌといったポスト印象派から影響受け、やがてデューラーなど北方ルネサンスの画家からの影響が顕著にみられる肖像画を描くようになります。細部まで細密に描く表現へと移り変わる過程で、「写実」を通して描く対象の本質を捉えることについて考えを深めていきました。また、文芸美術誌『白樺』や、この雑誌を通して出会った武者小路実篤らと交友し、挿絵や装丁も手掛けるようになります。さらに関東大震災後、京都に居を移すと、宋元画や浮世絵などを集中的に研究し、日本画の制作に取り組みました。生涯渡欧することなく、38年という短い人生において、実に濃厚かつ多彩な作風を展開した画家でした。

岐阜県美術館では開館して間もなくこの日本近代洋画を代表する画家の《自画像》を収集しました。愛娘麗子(れいこ)が誕生し、父となった自身の姿を描き上げた代表作です。そして平成30(2018)年、幸運な巡り合わせにより、新たに3点を収集することになりました。絵を学び始めた頃の画家劉生誕生を物語る油彩画《滞船》、日本画制作に熱中していた時期の《歳寒三友》、そして再び洋画家としての道を歩もうとした最晩年の《薔薇図》です。これらの収蔵を機に、今回、そのお披露目として岸田劉生展を開催するはこびとなりました。本展覧会では、公益財団法人 日動美術財団 笠間日動美術館のコレクションを中心に、劉生の絵画、版画、装丁画、そして日本画約170点をご紹介します。

岸田劉生の生きた時代は、世界大戦やスペイン風邪、関東大震災など、社会情勢や日常生活に大きな変化がみられた時期と重なります。劉生は、美しいと感じる心の眼がとらえた美の姿(内なる美)を描くこと、すなわち写意により表現することを追求しました。社会が騒然とするコロナ禍の今、劉生が求めた「内なる美」は、作品をとおして私たちの目にどのように映り、新たな美の基準を気づかせてくれるのでしょうか。

最後になりましたが、本展開催に際し、さまざまなご支援、ご協力を賜りました関係者の皆様に心よりお礼申し上げます。

開催概要

タイトル 岸田劉生展 ―写実から、写意へ―
開催期間 2020年11月14日(土)~2021年1月17日(日)
※会期中、都合により展示替えする場合がございます。
※企画展開催中の第3金曜日は20:00まで開館
※展示室の入場は30分前まで
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始(12月28日(月)~2021年1月4日(月))
観覧料 一般800(700)円
大学生600(500)円
高校生以下無料
※()内は20名以上の団体料金
※身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳、難病に関する医療受給者証の交付を受けている方およびその付き添いの方(1名まで)は無料
会場 岐阜県美術館 展示室3
主催 岐阜県美術館、岐阜新聞社 岐阜放送
後援 NHK 岐阜放送局
協力 公益財団法人ひろしま美術館、田辺市立美術館
特別協力 公益財団法人 日動美術財団 笠間日動美術館