【2019/11/3(日・祝)】「~ながラー」募集イベント「MOTTAINAI工房」

開催概要

日時 2019年11月3日(日・祝)10:00~16:00(15:30 最終受付)
会場 岐阜県美術館 アートコミュニケーターズルーム
参加費 無料
対象 どなたでも(当日受付、事前申込不要)
協力 岐阜県立森林文化アカデミー

 

当日の様子

岐阜県美術館に新しくオープンした「アートコミュニケーターズルーム」。「~ながラー」(アートコミュニケーター)の活動拠点となる新しいスペースは、北門から入ってすぐの明るい一角にあります。

リニューアルオープンイベントの楽美初日には「~ながラー」の募集イベントと関連して、岐阜県立森林文化アカデミー協力の元、「MOTTAINAI工房」を開催しました。森とアート、コミュニケーションをテーマにしたワークショップです。

この日にアートコミュニケーターズルームを訪れた人の数は564人。そのうち47人がMOTTAINAI工房を体験しました。

森林⽂化アカデミー松井勅尚教授が開発した「MOTTAINAI⼯房プログラム」では、「ケア」という概念が大切にされています。「世話・手入れをする」といった対人的な行動を超えて、「モノや空間に向けて心配りをする」視点が組み込まれています。
このワークショップでは、日頃から接する「モノの命」に心を配り、自然とのつながりを取り戻すことが目的とされています。

MOTTAINAI工房の開催にあたって、岐阜県立森林アカデミーの松井勅尚教授にご協力いただきました。また、共同研究者であるNPOmusubi代表の吉⽥理恵さん、そして2人の「ぎふ⽊育サポーター養成講座」受講生さん もファシリテーターを務めました。木育サポーターとは、木育に関する専門的な知識や木のおもちゃの遊び方などを学び、これからオープンする「ぎふ木遊館」で活動する人たちのことです。
今回は、体験する人が素材を選んだり、作品をつくったりするときに、伴走する存在として一緒に活動しました。これからはじまる「〜ながラー」の活動にも、共通するまなざしがありそうです。

◆体験のながれ

 

 

アートコミュニケーターズルームに入ると、色とりどりの板が参加者のみなさんをお出迎えします。この板は、2017年、岐阜県美術館主催の「アートまるケット2017 ツナがり ツナがる ツナがれば」で、岐阜県立希望が丘こども医療福祉センターの皆さんが絵を描いてくれたものです。当日はこの板を舞台にみたて、作品をつくりました。

 

 

 

まずはアートコミュニケーターズルームの扉から外へ出て、美術館の庭へ。
自分にとっての「素敵なもの」、「ちょっと気になるもの」を探し、一つ拾って戻ります。
「何を見つけたの?」「どんな匂いがする?」木育サポーターさんとお話してみます。子どもも大人も、大切そうに選んだものを持って帰ってきました。

  

ルームに戻ると、机の上に素材がずらり。これが「素材置きテーブル」です。

自然のもの、人工のもの、いろいろなものが並べられています。普段から何気なく使っているもの、つい見過ごしてしまうもの、そんな一つ一つのものを見つめ直していきます。

かたち、色、手ざわり、臭い・・・。まずは観察し、手にとって気に入ったものを選びます。
「これって何だろう?」「どうやって使うんだろう?」「何だか、気になるな!」
木育サポーターさんとお話ししながら、これらのものを組み合わせて、自分の表現したいことをかたちにしてみます。1日のなかで、たくさんの作品が生まれました。

表現の方法や、込められたストーリーについて、ファシリテーターである木育サポーターさんと鑑賞してみます。
家族やお友達のような近しい人、また一人で参加した人も、言葉にして共有することで、いろいろ発見が生まれたようです。

 

つくった作品は、また次の⼈が新しい作品をつくれるように、素材置きテーブルに分解して戻します。
MOTTAINAI⼯房では、素材置きテーブルを地球に見立て、制作のために頂いた素材を「美しく戻す」⾏為を重要視されているそうです。今、人のふるまいとして、地球から資源をいかに選択し、いかに戻すか?その戻し方こそが、問われているからだそうです。

参加者の方からは、「考えてつくるのは楽しかった!」「美術館のすぐ外に自然があって、つながっている感じがよかった」との感想をいただきました。

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MOTTAINAI工房を考案・実践している松井教授によれば、このワークショップには「4つの願い」が込められています。

(1)もの・人・こと(時間)を大切にしよう
(2)「ケア(心配り)」しよう
(3)「みのたけ」にしよう
(4)「どこから来て・・・どこへ行くのか」考えよう

これらの概念をどのように伝えることができるか?実践するまでには、様々な試行錯誤があったのだそうです。
たくさんのモノが手に入る現代社会。けれど、そのなかで「ケア(心配り)をしよう」と意識してみると、人やモノに対する働きかけは変わってきます。ただ何かをつくる、使う、片付ける…それだけではなく、改めてひとつひとつのモノに目を向け、丁寧に扱う体験が大切である、と松井教授は言います。モノや人が大切にされる空間づくりから、心配りのあるふるまいは育まれるのだそう。
このワークショップに木育サポーターさんが欠かせない理由も、このケアの視点にあります。
木育サポーターさんの役割は、知識や方法を「教える」だけではなくて、その人の発見や感動に応えながら伴走していくことです。モノを探す、手に取る、表現する…それぞれのプロセスをともに取り組んだり、時に見守ったりして、体験のパートナーとして活動します。大人の行動から子どもが学んでいくように、丁重なモノの扱い方、言葉や態度のやりとりも、人から人へと伝わるもの。これから美術館に来る人や、「〜ながラー」も、お互いの価値観や感動を共有しながら、心配りしあえる関係を育めるといいですね。


MOTTAINAI工房の隣は、アートコミュニケーター「~ながラー」についてお話しするコーナー。
応募のことや活動のことについて紹介しました。

CCNのマスコットキャラクター、ナガラーちゃんも遊びに来てくれました!
アートコミュニケーター「〜ながラー」と同じ名前ということで、応援にかけつけてくれました。

 

「美とふれあい、美と会話し、美を楽しむ。」
オープンを迎えたアートコミュニケーターズルームは、まさにこの3つを体験する場所になりました。
誰でも入れるお部屋ですので、美術館にきたら、ぜひ遊びにきてみてくださいね。キッズスペース・授乳室も同じ空間にあります。