【基礎ゼミ】第7回〈「アートプロジェクトって、ナンヤローネ」「基礎ゼミを終えて→実践ゼミオリエンテーション」〉

【基礎ゼミ】第7回〈「アートプロジェクトって、ナンヤローネ」「基礎ゼミを終えて→実践ゼミオリエンテーション」〉

実施日:2023年7月15日(日)10:30~15:00
会 場:岐阜県美術館 講堂
講 師:日比野克彦館長、アートコミュニケーター運営チーム
内 容:美術館内に留まらず、街や地域を舞台に展開されるアートプロジェクトについて、事例を通しその意義を考えます。後半は、これからの活動に向けたオリエンテーションを実施します。

基礎ゼミ最終回

全7回に渡って実施した基礎ゼミの最終回です。
これまでアートコミュニケーターとして必要な考え方を学んでいきました。

今回のゼミでは日比野克彦館長を講師に迎え、街や地域を舞台に展開されるアートプロジェクトについてお話しいただきました。今後の活動の具体的な活動内容に想像を膨らませるゼミになりました。

こよみのよぶね

館長が幼少期から過ごしていた岐阜での原風景のお話からはじまり、岐阜で展開されているアートプロジェクト「こよみのよぶね」の取り組みについてお話を聞きました。

「こよみのよぶね」は2006年に岐阜県美術館で開催された、「HIBINO DNA AND-日比野克彦 応答せよ!!-」※の関連企画HIBINO DNA AND PROJECTとしてはじまりました。
「時が流れる」という思いを基にしており、暦の月の数字をかたどった灯りが、長良川を流れていきます。地元で採取した竹と岐阜の和紙を使用して行灯を制作し、鵜飼で使う舟に取り付けて、冬至の夜に長良川に浮かべます。
岐阜県美術館はここ数年、その年の干支を象った行灯を制作しています。

館長からは、これまでの「こよみのよぶね」の活動の中で印象的だったエピソードや、こよみのよぶね実行委員会との連携についてお話していただきました。

 

 

 

 

 

去年「こよみのよぶね」の制作に関わった2期と3期の「~ながラー」にも、活動の様子を話してもらいました。
行灯制作は大変なこともあったが、たくさんの来館者と関わるきっかけになり、思い出深いコミュニケーションが生まれたことが良かった、これからの活動でも来館者や「こよみのよぶね」に関わる人たちとの出会いを大切にしたい。と今年度の意気込みも語ってくれました。

※「HIBINO DNA AND-日比野克彦 応答せよ!!-」
2006年10月20日(金)から12月24日(日)に岐阜県美術館で開催された展覧会。
岐阜市出身で、国内外で幅広く活躍中のアーティスト・日比野克彦の、幼少時代から最新作までの膨大な作品群が一堂に展示された。市民も共に岐阜ならではのモノやヒトとの交流を図り、様々な形で“現在進行形のアート”を展開した。

地域資源と「~ながラー」

今年は実践ゼミ【地域資源と「~ながラー」】というテーマで「こよみのよぶね」を取り上げます。行灯を制作するだけでなく、地域や来館者とどのような関わり方をしていくのか自分たちで考えることからはじめます。

オリエンテーション

午後からは実践ゼミについてのオリエンテーションを行いました。

今年度の実践ゼミは実践ゼミ1で【作品鑑賞・アクセスと「~ながラー」】、実践ゼミ2で【地域資源と「~ながラー」】をテーマに実施します。

実践ゼミ1で【作品鑑賞・アクセスと「~ながラー」】では、対話型鑑賞の可能性、およびVisual Thinking Strategies(VTS)の鑑賞手法やファシリテーターの技術の基礎を学び、芸術作品の鑑賞はもちろん対話型鑑賞をきっかけに深いコミュニケーションの可能性を探ります。また、鑑賞を軸に多様な来館者に寄り添うために自分たちでできることを考え、実践します。最終回にはゲストをお招きして鑑賞会を実施します。

実践ゼミ2で【地域資源と「~ながラー」】では、アートプロジェクト「こよみのよぶね」がどのような趣旨で開催され、自分たちアートコミュニケーターが地域の人とイベントの間にどう関わっていくか、3名以上のグループで進めていきます。スケジュールから関わり方まで、グループそれぞれに考え実行します。

舟の活動とは?

実践ゼミの概要の説明の後は舟の活動の方法をスタッフより説明しました。「~ながラー」として館内で活動するためのチームを《舟》と呼んでいます。
活動するチーム《舟》の作り方や、企画書について、ふりかえりなど活動の一連の流れを確認しました。

その後2期~4期の「~ながラー」が美術館でアートコミュニケーターとしてやりたいこと、興味のあること、得意なことを紙にかいて交流しました。
紙を掲げながら自分が考えていることをプレゼンし、相手の話を聞きます。

 

 

 

 

 

自分の考えていることに近い人とグループをつくり、ミーティングを行いました。
どんな活動をすべきなのか、自分たちでなにをするか、どんなことができるのかを話し合っていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日のミーティングで話したことを、掲示板にふりかえりを記入し、これからの活動につなげていきます。
これから始まる自分たちの活動に見通しをもった舟もあったのではないでしょうか。
皆さんの美術館での活動がどのようなものになっていくのか楽しみです。

〜ながラーのふりかえり

・私自身は2021年、22年の二回、「こよみのよぶね」に関わり、その「場」を体感しました。そのときの自分自身の心の揺らぎ、また参観していらっしゃった人たちの様子の理由が何であったのか、その疑問が解けました。つまりは、それは「場」の「力」でした。

・岐阜で人が集まるのにふさわしい場・・・長良川、金華山・・・人の都合ではない日・・・冬至・・・清流、澄んだ空気、夜・・・1から12の行灯船、時の流れと川の流れ、こよみっけ・・・こよみのよぶねの場づくりの話を聞き、感動を呼ぶ場の力に納得、昨年川岸から見た光景が思い出されました。 すばらしい場が設定されると、後からどんどん物語ができてくるんですね。

・「美術館とは展示のみではなく拠点になる場所」
この岐阜県美術館ではながラーの活動として、都美ではとびらラーとして、以前は一方方向の展覧会だったものが今では各地で発信していく拠点が広がっているというお話を聞き、そこに関わっていることの重要性や高揚感を感じました。
また、ひとつのプロジェクトがまた次にバトンを渡して続いていくものになったり、まわりを巻き込む仕掛けを考え共有していくことの楽しさを語って頂き実践ゼミの内容がとても楽しみになりました。

スタッフノート

基礎ゼミ全7回が終了し、これから舟の活動、実践ゼミなど様々な活動が始まっていきます。これまで身につけた経験や学びを活かしてこれからの活動を楽しみながら取り組んでいってほしいです。