〜ながラーインタビュー vol.5

人と人、人と作品、人と場所をつなぐ活動に取り組むアートコミュニケーター「〜ながラー」。2020年度からスタートし、現在では約50名が活動しています。
初年度の終盤に行った「実践ゼミ2〜4  舟のおもしろい公開日誌をつくろう」では、〜ながラー同士でインタビューを行い、その内容を書き起こすことで、「ふりかえる・伝える」を実践してみました。

コロナ禍によるオンラインミーティングでの活動や、「この舟のろう式」によるオリジナルな企画のあゆみ、世代や職業が異なる人たちとのコミュニケーションなど、さまざまな体験談が綴られています。

~ながラー一人ひとりの個性的なエピソード、ぜひご覧ください。

インタビューの公開にあたり、実践ゼミの講師である多田智美さん、妹尾実津季さん(株式会社MUESUM)に監修していただきました。

やりたいって気持ち| 青木三奈 さん

聞き手・文:近藤美紀

 「まさか自分の顔が一般の公共のネットの世界に出るとは……」

岐阜県美術館のホームページに、〜ながラーとして自分の写真が掲載された時の事を笑いながら話す青木さん。

会社の同僚にもホームページを見てもらったそうだが、「出てるじゃーん! 大きくない? ってすごい会社で笑われた」と自分の事を少し自虐的に面白く話す彼女につられて、私も可笑しくなる。終始笑いながらインタビューは続いた。

他にはどんな活動が印象に残ったのか聞いてみた。ロートレックという画家の姿に扮装し、髭をつけ杖を持って寸劇をやったそうだ。「なかなかのレアな体験。まさか人前にあの格好で出るとは。戸惑いはあったが終わってみれば楽しかった。」と笑って話す。他にも作品に対して自分が感じた事を喋りYouTubeで配信する【〜ながラジオ】の活動もされたそうだ。とてもアクティブな人のようだが、よく聞くと元々人前に出るタイプではないと言う。「どちらかというと縁の下の力持ちタイプ、発信する側ではなく観る側です」


そんな彼女がどうしてやってみようと思ったのか。その時の自分を思い出しながら答えてくれた。「一人ではやる気も起きないと思う、みんながいるからできた貴重な体験。みんなの情熱とか、思いとか、盛り上がりに引き込まれたっていうか、やりたいって気持ちが出たのかな?……押されたから?……いい感じに言うとなにかな?……」と少し沈黙が続き「ま〜そんな感じ」ぴったりくる言葉が見つからず諦めたようだ。そんな、茶目っ気たっぷりな素敵な女性だった。

最後に、これからどんな活動をしたいかについて聞いてみた。「受け身な方なのであまり変わらないかもしれないんですけど、自分から企画とかできたらいいなと思っています」と遠慮ぎみに教えてくれた。

きっと、まだ彼女の中で眠っている「やりたいって気持ち」がこれからも目覚めていくことだろうと思った。

 

 

つなげていこう| 髙垣和美さん

聞き手・文:藤井理恵

 今回は、「ながラー」のかずみさんを紹介します。かずみさんは、小学校の先生をしています。結婚前に他の美術館でガイドボランティアをし、楽しかった経験があります。育児がひと段落し、自分の時間ができた時、新聞で「〜ながラー」の募集を知り、岐阜県美術館にもボランタリーな存在があると知って参加しました。 学校と美術館をつなぐ活動をしたいと思い、 似たような思いをしたメンバーと共に「LINK・MEET丸」を作り、アーティストにインタビューをし、記事をまとめる活動をはじめました。

LINK・MEET丸のインタビューにて。かずみさん(左)

「インタビューは難しいこともありました」と語るかずみさん。自分が詳しく知っている人じゃなかったり、そのアーティストのよさを引き出したり、魅力が伝わるようにまとめたりするのは大変なときもありましたが、毎週アーティストの元へ行き、仲を深めていったり、直接アーティストと話せたりできることはとても楽しかったそうです。これからもアーティストや、美術館の売店の人、監視員さんなど様々な人にインタビューを続けていき、人をつなぎ続けます。

美術館でキラキラ輝く女性に聞く 「〜ながラーってなあに?」| 馬渕明美 さん

聞き手・文:白木容子

 本日は、〜ながラーの馬渕さんに「2020年度の活動を振り返る」というテーマでお話を伺いました。最初は少し緊張気味に感じられましたが、話を進めていくうちに身振りも交え、いろんなお話をしてくださいました。

馬渕さんの乗っている舟は「泉の小舟」という何やらロマンチックな名前の舟です。活動内容は、11月3日「アートしながラー」に、石に魚等の絵を描き、それを美術館庭園の水辺に入れ、来館者(事前予約の方)に釣ってもらうという、楽しそうな活動をされました。当日は秋も深まった時期にもかかわらず、特別寒くもなく、良い天候に恵まれたようです。参加者は約20名。釣った魚(石)は持ち帰ることができ、良い時間を多くの参加者と共に過ごされたようです。本来はコロナ禍であるためZoomでの活動も考えられたようですが、まだ操作に慣れていないこともあり、結局Zoomは無しになったと、裏話も聞かせてもらえました。しかし機会があったら、遠くの人も参加可能であるためZoomも使ってみたいとのことでした。(実現するといいですね)

他の活動としては「放送部丸」にも加わり、野外彫刻について数人がそれぞれにトークをするという音声ガイドのような楽しい企画にも携わっているそうです。

検温タブレットをつくる馬渕さん(左)

また企画展であるロートレック展を盛り上げるために、メンバーを増やしパネルの展示を多目的ホールで行い、盛況だったと嬉しそうに語ってくださいました。また最近ではロートレックの作品をモチーフにした「検温タブレット」のディスプレイの装飾作業にも参加されました。

今後も活動に取り組み、いろんなことをやって見たいと瞳を輝かせ語ってくださいました。 そんな馬渕さんは、大らかで気持ちの広い温かい雰囲気の女性だと感じました。
〜ながラーでの馬渕さんの今後のご活躍を、陰ながら応援させていただきたいと思います。短い時間ではありましたが、馬渕さんの人柄に触れて、良いインタビューができたと感じました。本日はありがとうございました。