《#SuchatHOME》〜ながラーが家からヤッテミタ💡

 

岐阜県美術館に常設している《SuchSuchSuch》は現在、
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止対策として、
体験を中止しています。
《#SuchatHOME》は、「今だからこそできる方法で、作品を見ること、感じること、表現することを、
それぞれの生活に届けられないだろうか?」というアイデアから生まれました。

今回は、アートコミュニケーター「〜ながラー」が《#SuchatHOME》を
オンラインワークショップとして体験してみました!

こんなふうにヤッテミタ

開催日時 / 人数:

5/30(土)14:00〜16:30 / 〜ながラー6人
5/31(日)10:00〜12:30 / 〜ながラー7人

鑑賞作品(《#SuchatHOME》で公開中):
(1)《ばら》加藤栄三
(2)《月下の川沿いの家》アンリ・ル・シダネル
(3)《アポロンの戦車》オディロン・ルドン

場所:ZOOM

1.  オンラインミーティング「ZOOM」で集合!美術館の教育普及職員が、進行役となってすすめていきます。

2. 《#SuchatHOME》を一緒に進めながら、まずは作品鑑賞。

「この絵のなかでは、どんなことが起こっていると思う?」「絵のどこからそう思った?」
対話しながら3つの作品を見ていきます。

3. 家の中からコネクターを探してきて、見せ合います。

「なんでそれを選んだの?」「作品とどんなつながりを感じたの?」と聞いてみました。

4. 3つの作品を見て感じたことを、コネクターを手掛かりに、イメージスケッチを描きます。
最後に一人ずつ見せ合い、「感じ方のちがい」を楽しく共有しました!

〜ながラーのコネクター&スケッチ

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〜ながラーAさん

【コネクター】
①針:きれいな薔薇のはずなのに、色合いがやや暗く、
何か見た時に気分がざわざわした感じがしたので、鋭い針を選びました。
②ティッシュ:穏やかで、静かなふんわりした雰囲気を感じたので、
柔らかく、白色のティッシュを選びました。
③アルミ箔:馬の躍動感と、争いの不穏な感じが、
アルミ箔のキラキラとクシャクシャと合う感じがして選びました。
【スケッチ】
上に「月下の川沿いの家」の暖かさ、左下に「ばら」の鋭さ、
右に「アポロンの戦車」の躍動感を表現しました。
暖かさを中心に1番に描いたので、自分の中で、一番大切なのかなと思いました。

    

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〜ながラーSさん

【コネクター】
①ブラックオニキスと緑のガラス玉のパワーストーン:
絵からおどろおどろしい不吉な感じ、得体のしれない感じ。
②直島の地中美術館のマスキングテープ:
静かな感じ。青。海。落ち着き。
③名古屋グランパスのメモ帳:
チーム一丸となって前へ進む感じ。赤。戦い。
【スケッチ】
下の絵は心の暗い部分(沼?)。近寄ってはいけない、不吉な感じ。
真ん中の絵はの落ち着いたニュートラルな世界。世間の喧騒や価値観とは距離を置いている。
上の絵はみんなが一体となって目標に向かう感じ。激しさ。社会。

    

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〜ながラーUさん

【コネクター】
①赤い色の魚の飾りの付いたお箸:
花瓶に映る黄色や、薄紫の薔薇にちょっとしなっとしたところ、
全体の雰囲気から何となく夕暮れ時の印象が残ったので、
夕暮れ色の魚にピンときました。
②濃紺の太い毛糸:
最初は夜更けかと思った絵ですが、暗い中に灯る明かりを見ているうちに、
「これはもしかしたら周りは暗いうちから
1日をスタートする職人さんのお家かも?」と思えてきて、
「こんなに早い時間から1日を始めるなんてどんな職業かな?」と
考えを巡らせ、職人…クラフト…からの連想で毛糸。
色もちょうど絵のイメージにピッタリだったので。
③目玉の指輪:
向かって右側、馬が飛び出してくるところの反対側に見える赤い何かが
なんとなく妖しいような禍々しいようなモンスターに見え、
そのモンスターの目に見えたので。
【スケッチ】
スケッチは毛糸の中にはその背景に連想した「人間」と「手」
魚はせっかくなので水に戻して、夕日を浮かべてみました。

    

やってみて、どうでしたか?

〜ながラーMさん

なかなか、自分の絵の見方を人に話す機会ってないと思うのですが、話してみて自分の感じ方に気付いたり、人のを聞いて納得したけれど、コネクターを選ぶときには「やはり自分が最初に受けた印象から離れないな」と気付いたりしました。

〜ながラーNさん

今日オンラインで体験できてとても楽しかったです!作品との“対話の厚み”という観点が、とても印象深かったです。県美の中で、一人suchをやる勇気が無く、手を出せずにいましたが、実際にやるときは、今回のような少人数規模でやってみたいです。心に沁みました。

〜ながラーSさん

リモートでの可能性が広がり、発見の多い実りある時間が過ごせました。美術館での《such such such》は 置いてあるものを直感で選択していたのですが、今回は自宅の身の回りのモノということで、五感をフル回転させながらのセレクトになりました。

スタッフノート

今回は、〜ながラーの皆さんとともに、初めてのオンラインワークショップに挑戦!
進行役として特に発見があったポイント3つを紹介します。

1. 「本物の作品」と「作品の画像」を見る違い
作品について対話しながら見る場面では、参加した〜ながラーから多くの想像や推察が語られました。作品の解釈が多様に交錯する体験は、オンラインでも豊かに展開できることを実感しました。
また、「本物の作品が見たくなった!」との感想も多くありました。その後実際に展示室に足を運んだ方は、改めて作品が持つ表現力に気づかれたそうです。
2. 家にあるものを活用する
「コネクター」は、普段は美術館が用意したものから選んでもらっていますが、今回は家の中で探すスタイルです。思い出の品や生活に欠かせないものなど、自分との結びつきや、作品とのつながりが、より親しみをもって語られていました。自分や他の人の意外な一面を発見することもあり、お互いをよりよく知り合うワークにもなる、とわかりました。
3. 全員の表情、反応に注目しやすい
展示室では、作品の前に横並びすることが多いですが、オンラインミーティングでは一人ひとりの表情や仕草がよくわかります。画面に顔を近づけて観察したり、眉をひそめて考えたり、他の人の話を聞いて驚いたり…。「心がうごく様子」が画面越しに伝わり、その感動がエネルギーとなって、さらに作品を深くみていく…そんな循環が起こっていました。

一人でやるのも楽しいけれど、誰かと一緒にやってみるともっと楽しい。
改めて、それぞれの「感じ方」を交流する面白さを感じる時間でした。みなさんもぜひ、やってみてくださいね!