越山若水が育んだ美ー福井県立美術館・若狭歴史博物館名品展ー展示室3
越山若水が育んだ美ー福井県立美術館・若狭歴史博物館名品展ー

2023年10月14日~12月3日

岐阜県美術館ではこのたび、「越山若水(えつざんじゃくすい)が育んだ美ー福井県立美術館・若狭歴史博物館名品展ー」を開催します。
福井と岐阜、両県文化交流のシンボルとして、両県の県立美術館の連携により福井県立美術館のコレクションから選び抜いた名作や同館が寄託を受けている文化財、福井県立若狭歴史博物館の収蔵品を展示します。国指定重要文化財を含む越前と若狭の名品をご堪能ください。

※チラシ裏面に掲載されている菱田春草《温麗・躑躅双鳩》は後期(11月7日(火))から展示されます。展示期間を示していなかったことをお詫び申し上げます。

開催概要

展覧会名 越山若水が育んだ美
ー福井県立美術館・若狭歴史博物館名品展ー
会期 令和5年10月14日(土)~12月3日(日)10:00~18:00

前期:10月14日(土)〜11月5日(日)
後期:11月7日(火)〜12月3日(日)
(前期・後期で展示作品の一部が替わります)

休館日:毎週月曜日(祝・休日の場合はその翌平日)
夜間開館:10月20日(金)、11月17日(金)は20:00まで開館
展示室の入場は閉館30分前まで

観覧料 一般 : 1,000(900)円
大学生 : 700(600)円
高校生以下無料、()内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、特定医療費(指定難病)受給者証の交付を受けている方およびその付き添いの方(1名まで)は無料
場所 岐阜県美術館 展示室3
主催 岐阜県美術館、岐阜新聞社 岐阜放送
後援 朝日新聞社、NHK岐阜放送局
協力 福井県立美術館、福井県立若狭歴史博物館
助成 この展覧会は公益財団法人田口福寿会の助成を受けています。

 

関連プログラム

本展覧会について

福井県立美術館は昭和52年(1977)の開館以来、展覧会等様々な事業を展開してきました。岡倉天心ゆかりの画家たちの作品、中近世及び近現代の福井ゆかりの作家の作品、ヨーロッパの作家の版画、ニューヨークで貿易商を営んだ岡島辰五郎氏が収集した工芸品などを含む、数多くの名品を所蔵しています。
昭和57年(1982)に開館した福井県立若狭歴史民俗資料館は、平成26年(2014)に常設展示を一新し、福井県立若狭歴史博物館としてリニューアルオープンを果たしました。若狭地域の歴史や文化について、地元の貴重な文化財を紹介しています。
令和3年度、福井県立美術館にて隣接する福井と岐阜、両県文化交流のシンボルとして両県立美術館の連携による展覧会「ももきねの美 清流の旅 ~日本画の巨匠と陶芸の人間国宝〜岐阜県美術館名品展」を開催しました。
令和5年度は岐阜県美術館にて、交換展として「越山若水が育んだ美ー福井県立美術館・若狭歴史博物館名品展ー」を開催します。仏教美術、日本画を中心に、福井県立美術館のコレクションから選び抜いた名作や、寄託を受けている文化財、福井県立若狭歴史博物館の収蔵品を展示します。国指定重要文化財を含む越前と若狭の名品をご堪能ください。


重要美術品 岩佐又兵衛勝以《三十六歌仙図 中務》江戸時代(17世紀)福井県立美術館蔵 *後期展示

展覧会の見どころ

福井県立美術館・若狭歴史博物館から名品が岐阜県に来る

福井県立美術館と福井県立若狭歴史博物館が誇る名品を、岐阜県美術館で鑑賞できるチャンス。
(前期・後期で展示作品の一部が替わります)

6世紀から20世紀まで幅広く美術作品を展示

中国・北斉時代、天統元年(565)の《観音菩薩立像》(福井県立美術館蔵)から、平成4(1992)年の元永定正《作品(仮題)》(福井県立美術館蔵)まで、時代を越えた名品の数々を紹介します。

国指定重要文化財や重要美術品、福井県指定有形文化財などの文化財も展示

重要文化財の良全《仏涅槃図》(本覚寺蔵(福井県立美術館寄託))や《世界及日本図》(福井県立若狭歴史博物館蔵)をはじめとする指定文化財も美術館で展示します。
*《仏涅槃図》は前期展示
*《世界及日本図》のうち《世界図》は前期展示、《日本図》は後期展示


重要文化財《世界及日本図》桃山時代(16〜17世紀)福井県立若狭歴史博物館蔵

著名な作家の作品を多数展示

岩佐又兵衛勝以や狩野芳崖、横山大観、加山又造などの作品を展示します。

展覧会の構成

第一章 信仰の美術

 福井県立美術館は鎌倉時代から室町時代の仏画を所蔵しています。また、県内の寺院からは文化財の寄託も受けています。この中から仏画の名品をセレクトして紹介します。福井県立美術館が所蔵する工芸品からは《五彩羅漢文盤》を、そして、白山信仰に関係する作品として能面を出品します。福井県立美術館の所蔵品の中で重要な位置を占める岡島コレクションからは、中国・朝鮮の小金銅仏を展示します。
 若狭地方には、古い時代に造られた仏像が多く現存し、とりわけ平安時代の優れた仏像が数多く遺されています。福井県立若狭歴史博物館の所蔵品・寄託品の中から仏像の名作を展示します。


重要文化財 良全《仏涅槃図》嘉暦3年(1328) 本覚寺蔵(福井県立美術館寄託) *前期展示 写真提供:福井県立歴史博物館

第二章 中近世絵画

 この時代は、越前朝倉氏の御用絵師を務めて室町時代から江戸時代中期に活躍した曾我派、福井藩主の二代松平忠直・三代忠昌のもとで江戸時代初期に活動した岩佐又兵衛勝以と岩佐派の絵師などによって彩られます。
 曾我派は、越前朝倉氏の家臣の家に生まれた曾我蛇足(生年不詳〜1473)が親交のあった大徳寺の僧、一休宗純から「墨溪」の雅号を受けて始まった流派です。宗丈、紹仙、宗誉、紹祥と五代まで続いたと考えられ、「蛇足六世」を名乗った曾我直庵とその子とされる曾我二直庵もいます。
岩佐又兵衛勝以は、奇想の画家として注目を集めている絵師で、壮年期の20年間を福井で過ごし、代表作の多くを福井で制作しました。本展では、又兵衛及び岩佐派の作品26点を紹介します。


曾我紹仙《寒山拾得図》室町時代(16世紀)福井県立美術館蔵 *後期展示


曾我直庵《鷹図》桃山時代(16世紀)福井県立美術館蔵 *後期展示


岩佐又兵衛勝以《三十六歌仙図 中務》江戸時代(17世紀)福井県立美術館蔵 *後期展示

第三章 近代の絵画

 福井藩士の子として生まれた岡倉天心は、東京美術学校(現、東京藝術大学)の設立に尽力、のちに日本美術院を創設し、近代に入って低迷していた日本画の復興と革新に努めました。そのため、福井県立美術館では岡倉天心を顕彰し、東京美術学校や日本美術院にゆかりのある画家の作品を収集しています。
 この章では、天心とともに近代日本画を推進した狩野芳崖と橋本雅邦、その教えを受けた横山大観、下村観山、菱田春草、その次の世代を担う今村紫紅、安田靫彦、前田青邨、速水御舟など、近代日本画を彩る巨匠たちの作品を紹介します。


狩野芳崖《伏龍羅漢図》明治18年(1885)福井県立美術館蔵 *後期展示


橋本雅邦《天保九如図》明治30年頃(1897)福井県立美術館蔵 *前期展示


横山大観《群鴉》明治42年頃(1909)福井県立美術館蔵 *後期展示


菱田春草《温麗・躑躅双鳩》明治34 年(1901)福井県立美術館蔵 *後期展示

第四章 現代の美術

 この章では福井にゆかりのある 現代の美術を取り上げます。
 まず、日本画に革新的な絵画表現を模索した作家として、横山操、加山又造、三上誠、星野眞吾らの代表作を紹介します。特に横山操の大画面の作品は圧巻で、見る者に強い力で迫ってくる名作です。
 また福井の現代美術コレクションの独自性を物語る、「小コレクター運動」や「創造美育運動」に関連する瑛九らの作品群も、この章で紹介します。


瑛九《あそび》昭和32年(1957)福井県立美術館蔵